犬と暮らしていく中で、まず最初に直面するのが去勢手術を受けるかどうかの選択です。
病気なわけでもなく、健康な体にメスを入れる…。それに、抵抗を感じないはずがありませんよね。手術の有無を決めるために、飼い主さんがたくさん悩んで考えるのは当然のことだと思います。
今回は、犬の去勢手術の必要性やデメリット、手術の時期・費用などの様々な疑問について、詳しくまとめました。
メリットは?去勢手術はなぜ必要?
まず、愛犬に去勢手術を受けさせることで、望まない繁殖を防ぐことができます。ヒート期にしか妊娠できないメスのワンちゃんと違って、オス犬は365日いつでも繁殖が可能なんです。
「ちょっと目を離した隙に…」なんてウソみたいな話も、今でも実際にある話なんですよ。
去勢は前立腺などの病気予防にも
また、去勢によって特定の病気を予防することもできます。オス犬に多い生殖器周辺の病気
- 前立腺肥大
- 肛門周囲腺腫
- 睾丸腫瘍
- 会陰ヘルニア
こういった病気は、特にシニア世代を迎えたときに発症しやすいとされています。
若い頃とは違い、シニア期の病気は体力の問題もあり、オペなどの治療を受けることを断念しなければならないことも。それによって、場合によっては命を落とす原因にもなりかねません。
去勢手術を受けていると、未去勢のオス犬に比べて、発症率はグっと低くなります。
愛犬の健康寿命を延ばすためにも、去勢手術は一つの手段だと私は思っています。
去勢時期は性成熟の前がベスト?
メス犬が初めてのヒート(生理)を迎えるように、オス犬も性成熟を迎える時期があります。男性ホルモンの働きで、より「男らしく、オス犬らしく」なるわけですね。犬の個体差はありますが、生後6ヶ月頃の時期に迎える子が多い傾向があります。
小型犬だと更に早くて生後4ヶ月、大型犬では遅くて生後14ヶ月に迎える子もいます。子犬期は大型犬よりも小型犬の方が成長が早く、体の成熟も早いようですね。
ヒートのように見て分かるわけではないので、オス犬の性成熟の時期は、なかなか判別しづらいのですが…
- マーキング 後ろ足をあげておしっこをする
- マウンティング 飼い主さんや、ぬいぐるみ、他の犬などに覆いかぶさって腰を振る
こういった行動が愛犬に見られたら、性成熟の時期を迎えたと思って間違いありません。
一般的に、この性成熟を迎える前に去勢手術を行うことが望ましいとされています。
成犬後でも去勢手術は受けさせるべき?
この場合は、もう去勢手術をしても遅いのでしょうか?
答えは「No!」。
成犬後の去勢手術でも、病気予防の効果は望めますし、発情中のメスのワンちゃんに飛びかかる心配もなくなります。
ただ、マーキングを覚えてしまった子は、術後にやめてくれるかどうかは…その子次第かなといった雰囲気です。
実際にマーキングしなくなる子も居るので、期待するのもアリだと思います。
去勢手術後の変化
去勢手術を受けることで、オスのワンちゃんにはこんな変化が現れます。- マーキング行動が減る、見られなくなる
- 他のオス犬との争いが減る
- 攻撃性が抑えられる
- 発情によるストレスから解放される
オスのワンちゃんと暮らしていると、意外とストレスになるのがマーキング行動です(´∇`;)
室内でも遠慮なく、あちこちに足をあげてシーッ!なんてこともよくあります。勿論しつけも必要ですが、去勢手術がマーキングの抑制になるのは、飼い主さんにとっても助かるかもしれません。
去勢するデメリットは?
もちろん、去勢手術は良いことばかりではありません。代表的なデメリットには、このようなものがあります。- 生殖能力がなくなる
- 全身麻酔を使うリスク
生殖能力の有無については、事前にしっかりと考えること。
全身麻酔については、信用できる動物病院にお願いすることで、ある程度安心できるのではないでしょうか。
そして、もう一つ飼い主さんが気になるのがこれ。
太りやすくなるってホント?
去勢後、太りやすくなる子が多いのは事実です。諸説ありますが、代表的な理由にはこんなものがあります。
- 消費カロリーが減少する
- 性欲・繁殖欲が食欲に変わる
去勢手術後、それまでと比べて10~30%も消費カロリーが減少するという説もあります。
これによって、術前と同じ食事量だと、消費しきれずに太りやすくなるわけですね。
術後、食事に執着するようになった、というワンちゃんの話もよく聞きますね~。
こういった術後の肥満については、飼い主さんがフードの管理をしたり、日頃の運動量を増やしてあげることで、ある程度は防げるかなと思います。
費用や料金はいくらくらい?
去勢手術にかかる費用は、犬種(特に大きさ)によって大きく変わります。また、動物医療は自由診療のため、動物病院によって差があることも。
相場は約15,000円~20,000円程度で、日帰り手術をする病院が多いようです。
手術自体は20~30分程度ですが、全身麻酔を使うため半日は病院に預けることに。
お住まいの地域によっては、避妊手術に補助金が出る場合もありますので、一度相談してみましょう。
→ 犬の避妊・去勢手術が助成金が出る?補助金を申請してみよう
術後で性格が変わる?
よく「去勢したら性格が変わった」と聞きませんか?うちの子はどうなるのかな…と気になると思いますが、正確に言うと「性格が変わる」は間違いなんです。
去勢後のワンちゃんに見られる行動変化は、男性ホルモンに影響されていた行動に限定されます。
上記で挙げたようなマーキングや、マウンティング行動もそうですし、発情期のメス犬に反応してソワソワする、といった行動などがそうです。
ある調査によると、他のオス犬に対する攻撃性は60%、マーキングは50%、マウンティングは70%の確率で消失するのだとか。
去勢手術によって、こういった問題行動が完全に消失する子もいれば、回数が減る子がいたり、変わった…かな?、と思わされる子も中にはいるわけですね。
その子本来の性格は術後も変わらないので、ご安心下さいね(*´∀`)
受けるかどうかは飼い主さん次第
それまで、周囲のメス犬の発情に振り回されていたオス犬が、去勢することでメス犬への執着から解放され、遊びなどに関心を示すようになった、という話があります。私はこの話を聞いて「新しい世界に飛び込んだ気分なんだろうなあ」、と思ったのを覚えています。
去勢手術を受けるかどうか、犬たち自身は決めることが出来ません。
飼い主さんが後悔のないように、納得できる決断をすることで、愛犬もきっと納得してくれるのではないでしょうか。
最新情報をお届けします
Twitter でwandoをフォローしよう!
Follow @wando_dogThe following two tabs change content below.
犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
最新記事 by 犬山 はる子 (全て見る)
- その病気ケガはペット保険の支払い対象外かも?トラブルを避ける保険の選び方。 - 2019年4月7日
- 犬の喧嘩を止める!止め方や仲裁のコツと喧嘩後のフォローについて - 2019年4月3日
- 犬の喧嘩は止める・仲裁するべき?じゃれる姿との違いは? - 2019年4月1日
- 犬が餅を食べたら危険?大丈夫な場合と緊急時の吐かせ方について - 2018年12月24日
- 愛犬のための年末年始・大型連休の準備。もしもの時はこれで安心! - 2018年12月8日