子犬の健康を守るために、欠かせない混合ワクチン。
今回は、子犬の混合ワクチンの接種の時期と回数について、受ける時期や、3回目の接種は必要なのかどうかなど、詳しくお話していきます。
「ワクチンの回数は、2回で良いのか?」
「3回目を受けるべきってホント?」
…などなど、特にワクチンの接種回数に悩む飼い主さんが多いと感じます。なぜ回数が統一されていないのか、そういった理由についても、分かりやすく解説してきますね!
犬のワクチンが毎年必要な理由
子供の頃に、病院や学校で「予防接種」を受けた記憶がありませんか?私たち人間の場合、予防接種のほとんどを子供の頃に済ませており、インフルエンザ等を除くと、大人になって改めて受けることは稀だと思います。
ですが犬の場合、時間が経つと予防接種(ワクチン)の抗体が消滅してしまうため、年1回のワクチン接種が推奨されています。
成犬は年1回で済む混合ワクチンですが、子犬にはじめての混合ワクチンを接種する場合、2回、もしくは3回の接種が必要になります。
なぜ子犬は、2度3度とワクチン接種が必要なんでしょうか?
それには、生まれたばかりの子犬ならではの理由があったんです。
子犬のワクチンは2回?それとも3回必要?
ワクチンを接種した後は副作用が出たり、そうでなくても、だるそうにして元気がなくなる子もいます。そんな姿を見ていると、なんとかして接種回数を減らせないか、と考えてしまうのも親心ゆえですよね。ところが周りを見てみると、混合ワクチンを2回で済ませている子もいれば、3回目を受けている子もいます。獣医師さんやブリーダーさんによっても、接種回数に関しての意見は様々。
※混合ワクチンの「〇種」の違いや、費用などについてはこちらにまとめました。
混合ワクチンの成分や効果等は統一されているのに、なぜこんなにも意見が分かれているのか…
これに関しては、子犬が最初にワクチンを接種した時期によるところが大きいようです。
少しややこしく感じる話ですが、出来るだけわかりやすく解説していきますね。
母乳に含まれる抗体がカギ
これは人間も同じなのですが、赤ちゃんをウイルスや菌から守るための「抗体」が、母乳には含まれています。母犬からもらった抗体(移行抗体)によって、子犬は感染症から守られているんです。ですが、成長と共にこの移行抗体は消えてしまいます。
子犬の体の中に、母犬からもらった移行抗体がある状態で、混合ワクチンを接種すると…体内で、移行抗体とワクチンのバトルが勃発していまいます。
そうなると、抗体を新しく作るよりも、お互いを攻撃して退治しようとする働きが強まってしまうんです。
その結果として、1回のワクチンだけでは抗体を作られているかどうかの判断が難しい、と言われているんですね。
ワクチン接種は、母体からもらった移行抗体の残量が20%以下に減った状態でないと効果がない、という説もあるようです。
そして厄介なのが、その子犬がまだ移行抗体を持っているかどうか、判別することができない点なんです。子犬の混合ワクチンの回数に差があるのも、この母犬からの移行抗体の有無が大きく係わっているんですね。
移行抗体とワクチンの関係
一般的に、一番最初の混合ワクチンは生後45日~60日の時期に受けることになります。飼い主さんの家に子犬が来るより早く、ブリーダーの元や、ペットショップにやって来た時点で受けていることがほとんどです。
この移行抗体の消失時期は、生後45日~60日が一般的とされています。ですが、中には生後120日まで、移行抗体が残っている場合もあるようなんです。
生後55日で無くなる子もいれば、生後100日でも移行抗体が残っている子もます。これは子犬の個体差や、初乳の量、母乳に含まれる移行抗体の状態によって変わってきます。
はじめての混合ワクチンは、この移行抗体の消失時期を予想しながら受けさせることになります。1回だけで効果を得るのは難しく、複数回に分けてワクチンを接種することが必要になってしまうんですね。
理想のワクチンスケジュールは?
ワクチンの接種回数は獣医師さんの中でも意見が分かれており、【生後3ヵ月を過ぎた時点で2回目が済んでいれば、3回目は必要ない】と仰る獣医師さんも多いようです。これは言い換えると、生後60日前後に1回目、生後90日前後に2回目のワクチンを接種していたら、という意味ですよね。
これも先ほどお話した、移行抗体の消失の時期の予想に関係しています。
一般的な移行抗体の消失時期は生後45日~60日のため、多くの子犬が抗体を消失する生後60日で1回目のワクチンを接種して、生後90日に2回目を受けます。
そうなると2回目のワクチンの頃には、一般的な移行抗体の消失時期を過ぎているため、「ワクチンの最終接種日が、生後90日を過ぎていたら大丈夫!」となるわけです。
なぜ3回目が必要なの?
ここから先はわたしの個人的な意見も含まれますが、ワクチンの最終接種は生後120日に近いほうが、より安心出来ると思っています。というのも、ワクチン抗体をはね返してしまう移行抗体が、生後90日を過ぎても子犬の体に残っている可能性が拭えないからです。
移行抗体が体に残っていると、ワクチンを受けても充分な免疫が作られず、子犬が感染症などにかかるリスクが高まってしまいます。
発育が未熟な子犬だけに、それが原因で命の危険を招くことも考えられるわけなんです。
とは言っても、早い時期に時期に移行抗体がなくなってしまう可能性もあるので、最短時期と最長時期の間を取ってワクチンを受ける手しかありません。そうなると、どうしても3回接種が必要になってきます。
「うちの子に限って…」と誰もが思いますが、実際にそれが原因で命を落とす子も、少なからず存在するのも忘れてはいけない事実です。
もちろん、混合ワクチン2回で病気知らずな子もいます!
実際にうちの子にも複数頭、我が家に来た時期の関係でワクチン2回で終えていた子もいましたから。
ワクチン接種が2回でも3回でも、それに関して飼い主さんが納得する説明をしてくれるような、そういったかかりつけの病院が見つけてもらいたいなと思います。
ワクチンの回数についてはじっくり考えて
人間でもインフルエンザの予防接種で体調を崩す人がいるように、副作用のないワクチンはまだ発明されていません。ですが、副作用を恐れるがゆえに接種を控えて、本当に守るべき病気や感染症のリスクを高めてしまうのも、愛犬にとって正しいのかどうか…。どちらが間違いと言えない、難しい話だと思います。
もっと動物医療が発達して、簡単な検査で「この子の移行抗体は生後〇日で消えるよ!」と判断できるようになったなら、こんな風にワクチンの接種回数に頭を悩ませることはなくなるのですが。
いつかそんな日が来ないかな~、と期待しています。
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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