犬の喧嘩は小さな小型犬同士であっても激しく、歯を剥き出しにして取っ組み合う姿は、私たちも見ていて怯んでしまうほどの迫力があります。

ですが、状況によっては飼い主さんが仲裁に入らなければ大事故や大怪我に繋がることも
頭に血が上っている興奮状態の犬の喧嘩は、飼い主さんが手を出して誤って噛み付かれる危険もあり、喧嘩を止めようにもためらってしまうことが多いはずです。

首輪を引っ張って相手から引き剥がす、という止め方をされがちですが、これは飼い主さんが怪我をする危険が高まります!犬にとって首は急所なので、いきなり伸びてきた手を無意識に噛んでしまうこともあるんです。


被害を抑えながら迅速にできる、上手に犬の喧嘩を仲裁する・正しい止め方にはこんなものがあります。
喧嘩を止めるための間接的な方法から、直接止めに入る方法まで、段階別に紹介していきますね。また、喧嘩が終わったあとの正しいケアや、気をつけてもらいたいポイントについても追記しました!

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喧嘩を仲裁する間接的な方法

昔は「犬の喧嘩は止めてはいけない」と言われていましたが、これはケースバイケース。
周りで見ていた飼い主さんが喧嘩を仲裁しなかったために、愛犬が大怪我を負うことになり、命の危険に及んでしまうことも悲しいながら多発しているんです。

もちろん、喧嘩に見えて実はじゃれているだけなど、少し様子を見たほうが良い喧嘩もあります。
飼い主さんが止めるべき喧嘩の見極め方、仲裁に入るタイミングなどは、こちらの記事へ!
犬の喧嘩は止める・仲裁するべき?じゃれる姿との違いは?
激しく争っている愛犬の姿を見ると、放っておいて本当に良いのか、怪我をする前に止めるべきなのかと悩ましく…(続きを読む)


この喧嘩は止めないといけないタイプかも…と判断できたら、これから紹介していく方法を使って、上手に仲裁してあげましょう。

大きな音で喧嘩を止める

犬の喧嘩が始まったとき、まず最初に試してもらいたいのが「音」を使う方法です。

大きな音を出して犬を驚かせる・注意をそらすことで、興奮していた犬が我に返り、あっけなく喧嘩が収まることはよくあります。
飼い主さんの大声も最初は効果があるようなんですが、次第に慣れてくるようで、絶対に聞こえているはずなのに無視して取っ組み合いを続ける子もとても多いんですよね…ヾ(;´▽`A“


大きな音を出すために手元にある物はなんでも使えますが、おすすめなのが金属がぶつかった時に出る大きな音です。

犬の聴覚は人よりもずっと敏感で、こういった大きな金属音・炸裂音をひどく嫌います。この音は飼い主さんの声よりも効果的で、喧嘩が白熱しそうな時などに鳴らすとぴたりと止むことも多いんです。

この手の音を鳴らすものなら何でも使えますが、おすすめなのがこういったもの。

  • 空き缶マラカス
  • 空き缶や貯金箱など、金属製の入れ物に小石や小銭を入れて蓋をします。
    これをマラカスを鳴らすように思い切りシェイクすると、想像以上に大きな音が出るんです。

  • アルミ製の灰皿
  • 100円ショップでも売っています。4~5枚用意しておき、今だ!というタイミングで一気に床へ落とすと「ガシャーーン!!」となかなかの音量が出ます。
    これは以前テレビ番組のしつけコーナーでも紹介されていて、犬を驚かせる効果は絶大です。
    (何度も繰り返すと床が傷付いてしまう可能性があるので、気になる方は他のアイテムを試しましょう)

  • オーブンレンジ用の黒いグリル皿
  • オーブンに付属している、あの黒くて重たいグリル皿。もしくは、魚焼きグリルの鉄板でも。キッチンにありませんか?

    これが音を出すにはなかなか優秀で、上記のアルミ製灰皿のように床に落としたり、おたまで叩いたりしても非常に大きな音が出ます。2枚お持ちであれば、シンバルの要領で打ち鳴らすのも効果的です!

犬の視界をふさいで冷静にさせる

喧嘩中であっても相手の犬が見えなくなると、そこで冷静になって喧嘩をやめることがあります。
犬の目を手で覆って視界をふさぐ、なんてことは勿論できないので、こういったアイテムを使って「見えない」状態を作りましょう。

  • 毛布など大きな布をかけてしまう
  • 毛布やブランケット、なければ上着などでも構わないので、喧嘩中の犬達の上から投げ掛けて覆ってしまいます

    急に暗くなった視界に「なにが起こったんだ!?」と驚いて動きが止まったら、そのまま布越しに犬に触れ、引き離しましょう。ただ、あまりに興奮状態が強まっていると、布をかけても変わらず喧嘩を続けることもあります。

  • 段ボールやベニヤ板などを使う
  • 争っている犬同士の間に、段ボールやベニヤ板を差し込み、物理的に二頭を引き離します。二頭の間に壁を作るイメージです。

    段ボールならベニヤ板やプラスチックに比べてやわらかいので、多少強引に差し込んでも怪我をしにくいので特におすすめです。差し込んだダンボールをそのままズルズル~っと動かして、犬ごと引き寄せてしまうことも出来ます。

    以前うちの犬たちに試したところ、突然現れた段ボールに驚いて喧嘩は止まり、ダンボールに押されて引き寄せられることすらされるがままでした。なかなか使えます!

    水をかけて喧嘩を止める

    「これ以上喧嘩を続けさせると大怪我になりそう!」という緊急事態には、水をザババッ!とかけましょう
    多少濡れてはしまいますが、一気にクールダウンして喧嘩を収められる確立が高いんです。

    ベストはバケツに汲んだ水や、ホースから大量の水を撒くことですが、そういった準備ができないシチュエーションも多いはず…。ペットボトルの水やコップの水など、少量の水をかけるだけでも我に返って、喧嘩の動きが一瞬止まることもあります
    そのタイミングで強くリードを引き寄せる、抱き上げるなどして相手の犬と引き離しましょう。

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    直接犬に触って喧嘩を止めるコツ

    喧嘩が始まったのに、手元に何もなく、間接的に喧嘩を止められそうにない…!
    こんなケースでは、飼い主さんが犬に直接触れて喧嘩を止める必要があります。

    喧嘩中の犬の間には絶対に割り込まない!

    歯をむき出しにして相手の犬に迫っている、もしくは自分の犬が噛まれそうになっている様子を目の当たりにすると、無意識に犬の口元へ手を伸ばしてしまいがちです。
    マズルを掴んで制しようとする飼い主さんも見かけますが、これは飼い主さんの怪我のもと。
    小型犬の小さな顎でも、本気を出せば私たちの指の骨なら噛み砕けるほどのパワーを持っているんです。

    また、興奮した犬達の間に割って入ることで、新しい敵が来た!と誤認識されてしまい、噛み付くなど強い攻撃を受ける可能性が高まります。


    犬の喧嘩を止めるとき、犬と犬の間に手を出すのは最も危険なため、まずは背後から近寄るようにします

    喧嘩の仲裁は背後から!


    喧嘩中の犬の後ろ側にまわり、小型犬など抱き上げられるサイズの犬ならウエストあたり、抱き上げるのが難しい大きな子なら後ろ足(なるべく両足を)を背後から両手で掴みます。

    振り向いた犬に噛まれないように気をつけながら、抱き上げられる子はそのまま持ち上げて引き離します。後ろ足を掴んだときは、掴んだまま犬ごと後ずさりして相手から引き離しましょう

    何度も繰り返しますが、とにかく口元には近付かないこと!
    前脚もバタバタとさせて抵抗するはずなので、引っかかれないように注意して下さいね。

    私がヒヤっとしたドッグランでの体験

    私の実体験になりますが、以前ドッグランで愛犬を遊ばせていたところ、それまで仲良く遊んでくれていたはずの子が突然毛を逆立てて迫ってきました

    愛犬も負けじと応戦していましたが、明らかに相手の子の目が興奮しきっていて、執拗に首や後ろ足を狙って噛み付こうとしてきます。
    「これはおかしい」と危険を感じた私が慌てて背後から抱き上げて引き剥がし、事なきを得ました。

    興奮したうちの子に爪を立てられて腕が引っかき傷だらけになりましたが、うちの子にも相手のわんちゃんにも怪我はなかったのでよかったなあと。

    なぜ喧嘩になってしまったのかは未だに分かりませんが、恐らくうちの子の何かが、相手のわんちゃんの気に障ってしまったようです。
    こんな風に、じゃれ合いや遊びから突然本気の喧嘩が始まることもあるので、やはり公園やドッグランなどでは自分の愛犬から目を放さないことがとても大切だと思います。

    喧嘩を止めたあとの正しいフォローは?

    散歩中やドッグラン内など、他のおうちの犬との喧嘩であれば、その後は早めに相手から離れて愛犬を落ち着かせましょう。
    オスワリやフセなど、得意なコマンドを何度か指示して、それが出来たらたくさん褒めておやつをあげます。

    喧嘩が終わった直後に、なだめようとしてすぐにご褒美をあげないように注意して下さい!

    というのも、喧嘩のあとすぐにオヤツをあげるなど「犬にとって嬉しいこと」をすると、わんちゃんの性格によっては「喧嘩して他の犬を攻撃する=オヤツをもらえる」と覚えてしまうことがあるんです。

    こう関連付けされてしまうと修正するのが大変なので、喧嘩のあとに愛犬をなだめるときには、何か他のアクションを挟んでからご褒美を与えるように徹底しましょう。

    多頭飼いの喧嘩後のケア

    飼い主さんが対応に困りやすいのが、多頭飼いという同じおうちで過ごしている子同士が喧嘩した後のフォローです。

    引き離して落ち着かせても、また相手の顔を見ると喧嘩が再開されてしまう…。
    こんな時は、まず「なぜ喧嘩が起こっているのか」という喧嘩の原因を探ることが大切になります。

    おもちゃを取り合ったのが原因なら、そのおもちゃは一旦遠ざけます。
    おやつを奪い合ったのが原因なら、奪い合わないように平等におやつを与えたり、それぞれのクレートやケージに入ってもらって落ち着いて食べられるようにしましょう。

    関係が複雑化する前に相談しよう

    一番対応に困るのが「相手のことが気に入らないから喧嘩する」というケースですが、この場合は色んな動機が複雑に絡み合っていることが多いんです。

    それは相手への嫉妬だったり、ストレスだったり、その子本来の性格が強く関係していたり…。これは長引けば長引くほどどんどん拗れていきます。

    多頭飼いで何度も喧嘩を繰り返す、喧嘩が始まると流血するような怪我をする、といったことが続くようであれば、一度ドッグトレーナーさんなど専門家に相談するのが一番の近道かと思います。

    愛犬が怪我をしたり病気かも?と思ったら、病院へ行って、その道のプロである先生に診てもらいますよね。
    しつけに関しても同じです。自分で何とかしなくちゃと無理をせず、上手にプロの手を借りてしまいましょう!

    とにかく、理由は分からないけれど仲良くできず喧嘩ばかりして怪我をする、といったパターンでは、無理に犬達を一緒に過ごさせる必要はないのではないかと個人的に思います。
    ケージ越しなら一緒の空間にいても平気なのか、ごはんの時にだけ喧嘩が起こりやすいのかなど、どこまでならお互い喧嘩しないのかというラインを飼い主さんが見極めてあげて下さい

    犬の喧嘩を止める時は慎重に

    犬達は色々な理由から喧嘩をしますが、その理由はすごく単純なことだったり、実は思った以上に根深かったり…。
    時には飼い主さんが離れて様子を見守ることも必要ですが、毅然とした対応で喧嘩を仲裁することも大切です。

    喧嘩を止めるときは出来るだけ音や視界など間接的な方法から試して、直接手を出すときにも飼い主さんが傷付かないよう気をつけて下さいね!

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    犬山 はる子

    犬山 はる子

    パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。 現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。