「もしもこの子に何かがあったら…」
そう考えて、愛犬のためにペット保険に加入する飼い主さんが増えています。
急な体調不良や、予期せぬケガ。それに伴う治療費は、時に私たち人間の治療費を大きく超えてしまうこともあります。
そんな時、頼りになるのがペット保険の存在。治療費の数割、もしくは全額を補償してくれることもあり、もしもの時に「保険が使えてよかった…」とほっとする場面も少なくありません。
しかし、反対に「せっかくペット保険に入ったのに!」と、保険金の支払いをめぐったトラブルが後を絶たないのも事実なんです。
どうしてペット保険でトラブルが起こってしまうのか?
トラブルの内容は様々ですが、どうやらその多くの原因はペット保険の「免責事項」にあるようなんです。
ということで今回は、ペット保険のトラブルを避けるための賢い選び方について。
ペット保険を選ぶときに、必ず読んでおいてもらいたい約款のポイントと、チェックするべき部分について分かりやすくまとめました。
ペット保険の上手な選び方は免責事項のチェックから
ペット保険に入ろうと思ってパンフレットやホームページを見る時に、まずチェックするべきなのが「免責事項」です。ペット保険の免責事項は、愛犬に病気や怪我が発生したときでも、「その怪我(病気)の治療費は支払えません」と、保険会社に支払い責任がない項目を定めています。
保険のパンフレットや、契約書に付属している約款にも必ず記載されていますよ。
細かい字でびっしり書かれているうえ、堅苦しい専門用語で書かれている保険会社も多いので、ついつい読み飛ばしたくなりますが…。
ペット保険を検討するときには、必ずこの「免責事項」の部分は熟読しておきましょう!
というのも、ペット保険に加入してから実際に治療費が発生したとき、いざ保険金を請求したところ…。「この傷病は支払い対象外です」と保険会社からNGを出され、そこで初めて免責事項の記載に気付く、というケースがとても多いからなんです。
「ペット保険が適用されない傷病」については、各ペット保険によって多少のばらつきはあります。
具体的にどういったケースがペット保険の補償対象外になっているのが、順番に紹介していきますね。
傷病治療ではない施術や手術
まず、傷病治療ではない施術や手術に関しては、ほぼ全ての保険会社の免責事項に記載されています。傷病治療ではない、と言われるとややこしいですが、簡単に言い換えると「予防のための治療」のことです。
今現在発症している疾病の治療のためではなく、将来的なリスクのために行われる措置のことですね。身近なものだと、避妊手術や去勢手術が挙げられます。(ちなみに、妊娠や出産時など繁殖に関する費用は、基本的にペット保険の支払い対象外となっています)
保険適応されない具体例
- 避妊手術や去勢手術
- 狼爪の除去
- ワクチン接種
- ノミ・マダニ、フィラリア予防のための措置
- 健康診断
- マイクロチップの埋め込みなど
- 爪切り、耳掃除
これらの費用については、ほぼ全てのペット保険会社の補償対象外となっているので、別の保険会社だったら…と探すのはおすすめしません。
ワクチンで予防可能な病気も対象外
次にペット保険の支払い対象外として挙げられるのが、飼い主さんによって予防できる病気です。狂犬病や、〇種混合ワクチンの接種で予防できる感染症については、「予防しなかった飼い主に責任がある」として補償対象外に定められていることがほとんどです。これについては、そりゃそうか…と納得できるのではないでしょうか。
ワクチン接種で予防できる病気
狂犬病・アデノウイルス・コロナウイルス・ジステンパー・パラインフルエンザ・フィラリア・レプトスピラ・パルボウイルスなどワクチン接種をしていたのに感染してしまったという、極めてレアなケースも存在します。この場合については、補償対象にしてくれるペット保会社も一部あるようです。
ペット保険が支払われない治療とは?
予防のための治療ではなくても、多くの保険会社で補償対象外に指定されている特定のケガや病気があります。傷病の発生頻度が高かったり、治療にかかる医療費が高額になりやすいなど、言い換えると「保険会社側の都合」によるもの。どんなケガや病気でも全て補償してしまっていたら保険会社側が倒産してしまう、という大人の事情もあるんでしょうね。
多くの保険会社で「補償外」に指定されている病気やケガについて、それぞれ紹介していきますね!
先天性な発症が考えられる傷病
その傷病が遺伝の影響からくる「先天性」の発症なのか、それとも事故などの「後天的」な発症のどちらなのか、判別が難しい傷病があります。この類の傷病については、ペット保険の免責事項に該当していることがほとんどです。例えば大型犬に多い股関節形成不全なども、こういった理由から支払い対象外に指定しているペット保険会社が多いんです。
先天性な起因が考えられるケース
- パテラ(膝蓋骨脱臼)
- 股関節形成不全
- ウォブラー症候群
- レッグペルテス病
- 停留睾丸
- 乳歯遺残
- 眼瞼外反、進行性網膜萎縮、動脈管開存症など
- 臍ヘルニア(でべぞ)、鼠径ヘルニア
保険会社によって補償の可否が異なるケース
ペット保険会社の約款を何社か見比べてみると、保険会社によって補償対象になっていたり、そうでなかったりするケースがいくつか目に付きました。代表的なものがこちら。
- 椎間板ヘルニアなどのヘルニア系の傷病
- 誤飲・誤食などの異物の飲み込み
- パテラ(膝蓋骨脱臼)
- ガン治療
この中でも、私が特に注目したのがパテラ(膝蓋骨脱臼)です。
パテラ(膝蓋骨脱臼)は名前の通り、膝の関節が何らかの原因で脱臼してしまう傷病。発症頻度が他のケガに比べて高く、また治療費も高額になりやすい傾向があります。
生まれつき膝の関節がゆるい子もいて、先程紹介した「先天性が後天的か判別が難しい傷病」であることから、免責事項に該当していると思いきや…。実は、補償対象にしているペット保険会社も意外とあるんです。
膝蓋骨脱臼(パテラ)を発症しやすい犬種
プードル、ポメラニアン、ヨークシャテリア、パピヨン、チワワ、ウェルッシュ・コーギー・ペンブローク、土佐、柴犬、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、パグ・ペキニーズ
膝の脱臼は、後ろ足で立ってジャンプしたり、ソファから飛び降りたときに起こるケースが多く、日常的に起こりやすい傷病です。
愛犬がパテラを発症しやすい犬種であれば、もしもの時に備えてパテラが補償対象になっているペット保険にする、といった選び方もおすすめです。
犬もガンを発症する時代に
現代を生きている犬の死因の1位は「ガン」と言われています。長生きするペットが増えて喜ばしい反面、年を取るにつれガンを発症する確立は高まってしまうんです。
10歳を超えた子の半数がガンで命を落としているという報告もあり、「うちの子に限って」という事態が起こる可能性は捨てきれません。
ガン治療にはお金がかかる
犬のガン治療は私たち人間のガン治療と大きく変わらず、外科手術のほかに抗がん剤治療や放射線治療など、色々な治療法があります。しかしガン治療は長期化しやすく、また治療費が高額になりやすい傾向があるため、ガン治療全般についてペット保険の補償対象から外されている場合も多いようです…。
近年、ペットの寿命がぐんと伸びていることから需要が高まり、ガン治療を対象にしたペット保険も増えてきました。
中には私たちの医療保険のように、愛犬がガンと診断されたら一時金が支払われるなど、補償を手厚くしている保険もあります。
犬の歯周病治療は高額!?
ケガや病気ほど注目されないものの、実は怖いのが犬の歯周病なんです。成犬の約80%は歯周病にかかっている、という報告もあるのだとか…。
私たち人間からすると深刻に捉えられない病気ですが、犬の歯周病は進行すると命に係わることもある大変な病気です。
重度の歯周病の治療には全身麻酔での手術が行われるため、治療費も高額になりがちなんですね。そのため歯科治療・口腔外科治療に関することは、全て保障対象外としているペット保険も少なくありません。
犬の歯周病はどんな子にも発症の可能性がありますが、普段からの飼い主さんのケアで十分予防できる病気でもあります。
いきなり歯ブラシは難しい子でも、少しずつ慣らしていけば歯磨きもそんなに難しいことじゃありません。
毎日のデンタルケア、ぜひ始めてあげてください!
ここまでで紹介した傷病の他にも、保険会社によって色々な施術や手術が免責事項に該当していることがあります。契約する前に、じっくり約款を読み込んでおきましょう!
ペット保険でトラブルにならないために
「このケースは保険の補償対象になるんだろうか?」「うちの子がもしこうなったら、保険金は支払われるんだろうか?」
など、ペット保険を検討した時に気になったことは、必ずメモしておきましょう!
そして、いくつか質問がまとまったら、保険会社の窓口に聞いてみることを強くおすすめします。
電話なんてしたら、しつこく勧誘されるのでは?と心配されるかも知れませんが、私自身の体感としてはそこまで強く勧誘された記憶はありませんでした。
資料請求した会社からは「ご検討はいかがですか?」みたいな電話が一本かかってきましたが、そこで「他に決めました」「もう大丈夫です」と答えたところ、それ以降はノーリアクションです。
担当者さんに色々と相談しているうちに、見逃していたポイントや意外な発見など、直接話すからこそ気付く部分もあるはずです。ペット保険はそうそう安いものでもないですから、慎重に、じっくり検討してくださいね。
愛犬のため、ご家族のために納得できる保険が見つかるよう、応援しています!
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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