「犬は群れで暮らす生き物」とよく言われますよね。
その印象から、犬同士は上手にコミュニケーションを取って、自然と仲良くできるのでは…と、なんとなく思ってしまいませんか?
しかし、実際に新しい犬を迎え入れて多頭飼いをはじめたところ、先住犬との喧嘩や争いが絶えないといったお悩みも、たくさん耳に入ってきます。
また、犬の喧嘩は多頭飼いに限らず、ドッグランや散歩中など、他のおうちの犬とも起こりがちです。
小さな犬同士の喧嘩であっても、時には仲裁するのを怯んでしまうような迫力にもなります。「犬同士の喧嘩は手を出しちゃダメ、順位が狂っちゃうから」という意見も、どこかしらで聞いたことはないでしょうか。
それでも、激しく争っている愛犬の姿を見ると、放っておいて本当に良いのか、怪我をする前に止めるべきなのかと悩ましくなりますよね。
今回のテーマは「犬同士の喧嘩」について。
犬同士で争いや喧嘩が起こってしまう理由や、止めるべき時の見極め方などについて詳しくお伝えしていきます!
犬同士の喧嘩はなぜ起こるのか
そもそも、なぜ犬同士での喧嘩が起こってしまうんでしょうか。犬の喧嘩が起こる理由によっては、早々に飼い主さんが止めるべき時もありますし、反対に少し様子を見てから仲裁に入ったほうが良い場合もあります。
よく言われる「犬同士の喧嘩に人間が介入するべきでない」といった意見も、必ずしも正しい結果になるとは言えないんですね。
喧嘩が始まる理由は様々ありますが、特に多いとされる理由がこの4つです。
優劣順位のために犬は喧嘩する?
犬同士の喧嘩のお悩みで、最も多いのが多頭飼いされている子同士のケースです。お互いにいがみ合うこともあれば、先住犬から新しくきた子、又は新しくきた子から先住犬へ、など一方的に喧嘩を売ってしまう場合もあります。
多頭飼いの場合、喧嘩の決着がつく前に、心配した飼い主さんによって止められてしまうパターンも少なくありません。
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから優しくしてあげて」「〇〇のほうが悪い」と、人間目線で犬同士の喧嘩のジャッジをしてしまうんです。
実はこれが犬同士の喧嘩を増長させていることがあり、これが原因で先住犬が嫉妬して後住犬を攻撃するようになったり、反対に後住犬が「自分の方がえらい」と勘違いして、先住犬を攻撃するようになるということも起こります。
こういった事態になる前に、喧嘩が始まってもすぐには止めず、ある程度優劣がついたタイミングでやめさせるのが良いと思います。大体は決着がついたかな?といったタイミングの見極め方は、後述しています!
流血する喧嘩は専門家へ相談を!
既に流血するほどの激しい喧嘩が続いているのであれば、かなり深刻な状態です。まずはお近くのしつけ教室や、ドッグトレーナーさんに相談することを強くおすすめします。
ネットなどにも色々な対処方法が書かれていますが、正直なところ「その子にその方法が合っているかは分からない」んですよね。そもそも信憑性の曖昧な情報も多いですし、方法としては正しくても、愛犬の性格や特性にその方法が合っていなければ効果は望めません。
あれこれ試しているうちに、愛犬たちの関係性はどんどん悪くなっていくばかりですから…。
最近では、臨時のしつけ教室が行われているホームセンターやドッグカフェも増えてきました。動物病院でもパピーパーティなどでトレーナーさんが関わっていることもあるので、まずは探してみましょう!
社会化不足による喧嘩
散歩中にすれ違うわんちゃんに、突然吠えかかってしまう。ドッグランなどで、知らないわんちゃんを執拗に追いかけて喧嘩を売ってしまう。このパターンは、多くの場合「犬の社会化不足」が原因になっています。
他の犬とのコミュニケーションの取り方や遊び方を知らないまま育ったために、とにかく他の犬を警戒してしまうんですね。
臆病で気が小さい子だと、恐怖心から飼い主さんにくっついて離れないことが多いです。
反対に、気が強い子だと「なんだおまえ!きにいらないぞ!」と、恐怖心があっても喧嘩を売りにいってしまうような傾向が見られます。
社会化が十分でない犬同士が喧嘩に発展すると、手加減の仕方も知らないので大怪我になってしまう危険があります。
このタイプの子が起こす喧嘩では、興奮のあまり相手の犬を怪我させてしまうケースが見られがちです。
「喧嘩が始まりそうだな」と飼い主さんが察した時点で、リードを引き寄せる、抱き上げるなどして「喧嘩させない」ようにするのが良いかと思います。
コミュニケーションのひとつとしての喧嘩かも
少しびっくりされるかも知れませんが、犬同士の喧嘩が起こるのは「コミュニケーションのため」なこともあるんです。「順位をつけるため」という意味も若干含まれますが、この場合はもう少しソフトなもので、強く噛んで怪我をさせるようなことは起こりません。
このパターンでよく見られるのが、子犬のときの兄弟姉妹けんかや親子けんかです。
子犬が親犬や兄姉犬とじゃれ合って喧嘩することで、噛まれると痛い、しつこくすると怒られる、といったことを学びます。子犬時代にこんな経験を積んだ子は、成犬になってからも他の犬と上手にコミュニケーションを取れるようになります。
この時の喧嘩は大切な「犬にとっての学習タイム」なので、飼い主さんは手を出さず、そっと見守ってあげて下さいね。
未去勢のオス犬同士は喧嘩になりやすい?
流血や怪我など、特に被害が出やすいのが去勢していないオス犬同士の喧嘩です。このパターンの喧嘩は、オス特有のホルモンといった本能的な部分が関係していることもあり、他の犬同士の喧嘩よりも激しくなりやすい傾向があります。特に、発情期を迎えたメス犬がそばにいると、メスをめぐって激しく喧嘩が始まることも。
「おれが強いんだ!」という本能から来る衝突なので、体格が似ているなど、なかなか決着がつかず喧嘩が長引くほど、怪我などのトラブルが起きやすいです。
この場合の喧嘩も、争いが始まってしまうとトラブルが起きやすい傾向があります。
喧嘩が始まりそうになったら飼い主さんがすぐに割って入り、ドッグラン内であればランから出て落ち着かせる、散歩中であれば相手の犬から早々に離れるなどして、わんちゃんの興奮を鎮めてあげて下さい。
ちなみに、未去勢のオス犬だから喧嘩っ早くて、メス犬や去勢済みの子がそうでないというわけでもありません。
うちにはトイプードルの女の子がいますが、子犬の頃からとても気が強くて、オスメス関係なく喧嘩を売りまくっていましたので…ヾ(;´▽`A“
じゃれる姿と喧嘩の見分け方
犬同士の喧嘩のお悩みで、遊んでいるだけなのか喧嘩しているのか分からない!といった声もよく聞きます。そんな時のための、飼い主さんにも見分けやすいポイントをまとめました。
- 尻尾の様子を観察する
- 激しく吠えるときは注意
- それは甘噛み?本気噛み?
これは喧嘩で劣勢になった犬が「もうやめて!」と相手にメッセージを送っているので、この姿が見られても攻撃を続けているようであれば、飼い主さんが仲裁に入る必要があります。
先程紹介した、コミュニケーションとしての喧嘩のときにもよく見られます。
これが喧嘩になると、相手が「キャン!」と声を上げるような強さで噛み続けたり、噛み付いたまま相手を振り回そうとすることもあります。
犬の喧嘩を止めるのはこんな時
犬同士の喧嘩で、どちらかの犬にこんな様子が見られたら、喧嘩である程度の優劣がついている可能性があります。この時点で犬同士が離れ、喧嘩が終わることもありますが、興奮状態のまま攻撃を続けてしまうこともあるんです。
- 尻尾をお腹の方に巻き込んでいる(恐怖心の表れ)
- 相手が鳴くほど強く噛んでいる
- 劣勢の犬が目をそらす、お腹を見せるなど、負けを認めるシグナルを送っている
- 飼い主さんの方をちらちらと見ている
喧嘩のときに見られる行動も、その犬によって少しずつ異なります。周りは大丈夫だと言っているとしても「なんだか様子がおかしいな」と飼い主さんが思った時点で、すぐに仲裁に入りましょう。
程よい喧嘩であればストレスの発散にもなりますが、長引いたり、明らかに体力差のある喧嘩は大怪我に繋がりかねません。
飼い主さんが上手に仲裁して、トラブルを回避しましょう!
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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