わたし達人間が毎日の生活でストレスを感じるように、犬達もストレスを感じることがあります。
人間のハードワークな生活と比べて「犬は毎日遊んで食べて寝てるだけで、ストレスなんてないんじゃないの~?」と、ついつい楽観的に捉えられてしまいますが・・・
彼・彼女たちにだって「ああ、不快だなあ」とか「なんだかイライラする」といった感情を持つこともあるんです。
そして、そのストレスを人間のように言葉にして訴えることはできません。
その代わり、言葉を話せない彼・彼女たちは、様々な行動を取ることによって、わたし達にサインを送っているのです。これが、今回お話する犬のストレスサインです。
犬のストレス行動に気付いていますか?
「うちの犬は毎日イイコにしているし、きっとストレスなんて感じてないよ」…そう思っているのは、もしかしたら、わたし達飼い主だけかも知れませんヾ(;´▽`A“
愛犬のことを思って、大事に大切に育てられている子もたくさんいます。ですが、人間が良かれと思ってしていることが、逆に犬にとってのストレスになっていることも…
また、飼い主さんのお悩みとして多い、無駄吠えや破壊行動など。
これらは一般的に「犬の問題行動」と呼ばれますが、これも犬がストレスを強く感じているために起こっている、というパターンがとても多いんです。
犬のカーミングシグナルとは
犬が発するストレスサインはたくさんがありますが、よく知られているサインとして「カーミングシグナル」がまず挙げられます。犬はストレスを感じた時、このカーミングシグナルという行動を取ることで、自分や相手の犬を落ち着かせようとする習性があるんですね。
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犬の気持ちがわかるカーミングシグナル。正しく理解していますか?
日常的によく見られる、代表的なカーミングシグナルにはこんなものがあります。
- 地面の匂いを嗅ぐ
- ブルブルっと身震いする
- 目をそらす
- 背中を向ける
- 自分の鼻周りをペロっと舐める
愛犬がこんな行動を見せたら、その時に犬がなんらかのストレスを感じているのだという証拠になります。
例えば、お散歩中に知らない犬とすれ違ったときや、イタズラが見つかって飼い主さんに叱られているとき・・・。脚拭きやブラッシング、爪きりの後などにも、終わった直後にチラリと見せることがあると思います。
犬はこのサインを出すことで、飼い主さんに「自分はストレスを感じているよ」と伝えているんです。
そんな時に、飼い主さんがカーミングシグナルにすぐに気付き、愛犬がストレスを溜めないようにサポートしてあげれていれば、特に心配することはないかと思います。
犬は単発のストレスにはきちんと対応できるので、ストレスを心配しすぎなくても大丈夫ですよ。
ただ怖いのは、そのストレスサインに飼い主さんが気付かないパターンなんです。
犬がストレスを溜めると大変なことになる
先ほど紹介したように、カーミングシグナルと呼ばれるサインは、ぱっと見るととても小さなしぐさです。そのため、つい見逃してしまったり、気付いているのにやり過ごしてしまっていることがあるかも知れません。また、その行動の意味を正しく理解していないせいで、愛犬が送り続けているストレスサインを放置してしまう可能性もあります。
そうして愛犬がストレスを溜め続けた結果、どうなるかというと…
ストレス行動が犬の問題行動へ
犬が慢性的なストレス状態に陥ると、犬の心と体に深刻な影響を与えはじめます。無駄吠えが増える
最近やけに愛犬が吠えるようになったのなら、ストレスサインを見逃していた可能性が高いと思われます。更には無駄吠えと並行して起こりやすいのが、「破壊行動」です。特に室内飼いのわんちゃんに見られ、家具やクッションなど、犬のおもちゃではないものをボロボロにしてしまいます。
この問題行動は運動不足の犬に見られがちな行動のひとつ。
「もっと遊びたい!走りたい!」と身体がムズムズしてくる為に、ストレスが「吠え」や「物にストレスをぶつける」ことに繋がっています。
唸る・噛むといった凶暴性
唸りや噛み付きといった行動の理由は色々ありますが、ストレスが原因になっている場合も少なくありません。私が実際に聞いたのは、おうちでブラッシングをしようとすると愛犬がウ~ッと唸ったり、ブラシや手を噛むふりをしてくるといったケースでした。
よく話を聞いてみると、最初は大人しくブラッシングをさせてくれていたそうです。ただ、ブラッシングの最中でも体をブルブルっと震わせたり、自分の鼻をペロペロと舐めたり、落ち着きのない様子があったのだとか。
これって全部、カーミングシグナルですよね。
ブラッシングにストレスを感じて、わんちゃんは「いやだ」「やめて」「落ち着かなくちゃ」とサインを出していたのに、飼い主さんはそのまま手を止めずブラッシングを続けてしまっていたんです。
そのため、このわんちゃんはブラッシング行為に強いストレスを感じ続けるようになり、それが唸る・噛むという攻撃性に繋がってしまったんですね。
ストレスによる心理的な影響
体の一部をなめ続ける
以前わたしが飼っていた柴犬のハナも、気が付くと前脚や肉球をペロペロと舐め続けている時期がありました。執拗なくらいに舐め回し、肉球の部分を舐め壊して、炎症を起こしてしまったことも…
その時の状況を思い出すと、私も家族も忙しく、最低限のお世話しか出来ない日が続いていました。満足に構ってあげられなかったのが、彼女にとっての大きなストレスになっていたのだと思います。
自分の前脚などを噛んだり、舐め続けるのは、代表的なストレスサインのひとつ。「運動や遊びの欲求が満たされていない」ことで起きやすくなります。
(人間に例えると、壁や床をドンドンしたり、頭を掻きむしったりする無意識のストレス発散のようなものです)
必要以上に自分の身体を舐め続けるのは、犬にとっての自傷行為に近いと受け取りましょう。
自分のしっぽを追いかけて回り続ける
犬が自分のしっぽを追いかけて、くるくると回って遊んでいることがありますよね。人間からすると可愛らしい犬の仕草なのですが、異常なほど自分の尾を追いかけようするのはストレスサインの一種です。
生後3か月のワンちゃんが、自分の尻尾を追いかけてくるくる回っています。
子犬期であれば遊びの一環なので、特に心配しなくても大丈夫です。
ただ、成犬がこれを繰り返しているのは要注意!
これは「テイルチェイシング」と呼ばれる犬の行動で、何らかのストレスを感じている時起こりやすい行動です。
成犬になっても続く場合は、たまったストレスを発散させたいがための行動になっています。
また、この「テイルチェイシング」はてんかんなどの脳神経系にトラブルのある時にも見られる症状です。
テイルチェイシングの行動のほかに、愛犬がいきなり身体を硬直させたり、痙攣などを起こしたことがあれば、まずは脳神経系の疾患が疑われます。この場合は一度、病院で詳しく検査してみることを強くおすすめします。
下痢や嘔吐をする
愛犬がお腹を壊したり吐いたりした場合、食あたりや体の冷えが原因だと考えることが多いと思います。ですがその他に、ストレスによって下痢や嘔吐が引き起こされている可能性もあるんです。
人間でも同じように、ストレスによってお腹が痛くなったり、吐いてしまうことってありますよね。これと同じで、犬も強いストレスを感じると消化器官に影響が出ることがあるんです。(個体差はありますが)
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犬は「空気を読む」能力に、非常に長けています。飼い主さんの感情の変化や、家の中の雰囲気などをダイレクトに感じ取って、愛犬も知らず知らずのうちにストレスを溜めこんでしまうことがあります。
見落としがちな愛犬のサイン
この他にも、こんな行動はストレスサインの可能性が。- 食欲がない
- トイレの回数が増える
- 換毛期ではないのに、抜け毛が増える
- 突然フケが目立つようになる
- 暑くない時でも、舌を出してハアハアしている
- あくびを繰り返す
- 寒くないのに、身体を震わせる
一時的であれば心配ありませんが、頻繁にこんな行動を取っているのならば要注意です。
愛犬のストレスを解消させよう!
基本的に、犬のストレスの大半は「欲求不満」で占められていると私は考えています。遊んでほしい、お散歩に行きたい、ゆっくり眠りたい・・・そんな「欲求」がうまく叶えられていない状況が続くために、犬たちはストレスを溜め込んでしまうんです。
また、爪きりやブラッシング、脚拭きなどは、犬は本能的に嫌がるしストレスを感じてしまうものなんです。
そのストレスを小さくするためには、日常生活での「欲求」をうまく満たしてあげるのが一番の近道。
私たちだって、自分の気持ちが満たされてハッピーなときは、ちょっとくらい嫌なことも「まあ仕方ないか」って受け入れられますよね?それと同じです。
普段から愛犬の欲求を満たして、余計なストレスを溜めさせないようにすることで、愛犬の精神がグっと安定するようになりますよ~。
犬のストレス解消にはまずこの3つ!
- 気温や音など、環境を整える
- 時にはたっぷり運動させる
- 愛犬の健康チェックを忘れずに
犬は人間よりも身体の熱を外に逃がすことが不得意な為、特に暑い季節は気を付けましょう。
また、犬は高い音や大きな音に不快感を感じることが多いものです。
キンキンした音や金属音、花火やエンジンなどの空気が爆発するような大きな音は、出来るだけ聞こえにくいように工夫してあげましょう。
特に、室内犬は運動量が足りていない事が意外と多いものです。毎日は厳しくても、週に何度かは、まとまった運動の時間を取ってあげましょう。
クタクタに疲れて、帰るとすぐ眠ってしまうくらいまで遊べば、愛犬もしっかりリフレッシュできます!
毎日愛犬に触ってスキンシップを取り、毛並みや身体に異常がないかチェックしてあげましょう。
特にミドル~シニア世代の子は、歯の状態もしっかり見てあげて下さいね。
食欲やトイレの状態も気にかけておき、おかしいなと感じたら早めに病院での診察を受けるようにしましょう。
愛犬のサインを見逃さないで!
昔に比べ、犬の生活環境は大きく変化しています。好ましい変化ももちろんありますが、反対に犬がストレスを受けてしまう機会も増えてしまっています。実際に、人間と同じく「心の病」にかかってしまう犬も、近年は増加傾向にあるのだとか。
愛犬が発する「助けて!」のストレスサインを見逃さず、その原因をしっかり解消してあげて下さいね。
ストレスを溜め込んでいないわんちゃんは、とても穏やかな様子で目はキラキラとしています。愛犬がいまどんな表情をして過ごしているか、ぜひ一度観察してみて下さい。
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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