「愛犬の気持ちがわかる人間になりたい!」
犬好きなら、誰もが一度は思ったことがあるはず。もちろん、私自身もそうです。
むかし〇ウリンガルという犬語の翻訳機が流行りましたが、人間はいつだって、犬の気持ちや言葉を理解したいと思っているもの。
それが、愛犬のちょっとしたしぐさや行動を読み解くだけで分かるとしたら・・・?
今回は、そんな犬のカーミングシグナルについて、詳しくお話していきます!
犬のカーミングシグナルとは?
「カーミングシグナル」というのは、犬が言葉の代わりに使う犬のボディーランゲージのことです。
Calming「落ちつかせる」+ Signal「信号」
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Calming signal(カーミングシグナル)
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Calming signal(カーミングシグナル)
このカーミングシグナルを発見したのは、動物学者のテューリッド・ルーガス氏。
犬の非音声的言語と呼ばれたり、ストレートに「犬語」と表現されることもあります。それくらい画期的な発見だったわけなんです。
「犬の本当の言葉を知って欲しい」と書かれた著書は、世界的な大ヒットとなり、犬の気持ちを正しく読み取るための手段として欠かせないものになりました。
愛犬の気持ちを理解したい飼い主さんや、犬語を解読したい人にはすごくおすすめの本です。
写真付きで説明されているので読みやすく、きっと「うちの愛犬ってこんなにお喋りだったんだ!」と驚くこと間違いなしです。
テューリッド・ルーガス氏によると、犬のカーミングシグナルは全部で27種類。
当然、この著書には27種類全て掲載されています。ただ、少し残念なのが、日本語訳されているために解説がちょっと分かり辛いかな・・・と、個人的に感じる部分もあるところなんですよね。
今回はそんなところも踏まえて、日常生活で目にしやすいシグナルについては、特に詳しく紹介していきたいと思います。
犬がカーミングシグナルを出すのはどんな時?
各シグナルについて解説する前に、そもそも犬はどんなときにこの犬語を発するのか?というところを、まずは簡単にお話しておきますね。不安などのストレスサイン
叱られた後や苦手なことをする時、知らない人に会ったり、初めての場所に出かけた時・・・この時、犬も人間と同じようにストレスを感じています。
こんな場面で、愛犬がブルブルっと体を震わせたり、耳や体をカイカイっと掻くしぐさを見たことがありませんか?
これもカーミングシグナルのひとつで、自分を落ち着かせるために行っている行動なんです。
●あわせて読みたい
犬のストレスサインはどんな行動?解消させるためにしたいこと
相手に対してメッセージを送りたいとき
カーミングシグナルは、主に犬同士で使われるボディランゲージです。相手の犬を落ち着かせたいときや、自分に敵意がないことを伝えたいときにも使われます。もちろん、飼い主さんをはじめ、人間相手にも使われます!
ですが、既に信頼関係がある飼い主さんと、全く知らない初対面の人間では、同じサインでも異なる意味を表すこともあるので、捉え方に注意しなければいけない場合もあります。
あくびする、舌をペロペロと出して口の周りを舐める、仰向けになってお腹を見せる・・・これも、相手に何かを伝えるための行動なんです。
日常生活の中で何気なく見ているしぐさ、この中にいくつもありませんか?
そのしぐさで愛犬は一体何を伝えたいのか、どんなメッセージを送っているのか、順番に読み解いていきましょう!
カーミングシグナルの意味を解説!
テューリッド・ルーガス氏が提唱している、犬のカーミングシグナルは全部で27種類。そのシグナルと意味を、まずは簡単に紹介していきますね。(日本語訳的に??となってしまうものは、今回意味を省きました)
ああ、こんなのもカーミングシグナルなんだ。くらいの、軽い感じで読み進めてもらって構いません。
重要なシグナルについては、後半で改めて紹介しています( ´∀`)b
犬のカーミングシグナル
- カーブ状に歩く(Walking in a curve.)
- 横を見る(See the side.)
- 横腹を反らせる(Turning the side.)
- どこかに行ってしまう(Go away.)
- 背を向ける(Turning the back.)
- 座る(Sitting down.)
- 鼻を持ち上げる(Nose up.)
- 片足を上げる(Lifting ones pows.)
- 地面を嗅ぐ(Sniffing the ground.)
- 伏せをする(Lying down with belly to the ground.)
- 鼻を舐める(Licking nose.)
- 口元を後ろに引く(Lengthen the corner.)
- 体を振るわせる(Shaking off.)
- 尻尾を振る(Wagging tail.)
- 何事も無かったような演技(Acting like nothing happen.)
- 体を低くする(Lower the body.)
- アクビをする(Yawning.)
- 小犬の様に振る舞う(Like a puppy.)
- 遊びの体勢(Going down in play position.)
- オシッコをする(Pee.)
- 動作が凍り付く(Freeze.)
- 2頭の間を裂く(Going between,splitting up.)
- 転位行動(Redirectional behavior.)
- 歯をカチカチ鳴らす(Tang the teeth.)
- 顔を背ける(turning the head.)
- 口をパクパクさせる(Gasp the mouth.)
(※状況や犬の様子によっても、意味がかなり異なるので注意)
見分けるのは難しいシグナルも
Calming「落ちつかせる」Signal「信号」というだけあって、自分が落ちつく、相手を落ち着かせるサインが大半を占めていましたね。カーミングシグナルに精通したドッグトレーナーさんであれば、これだけで「ああ、なるほど」と、犬語を理解できるかも知れませんが・・・
正直、私では見分けのつかないシグナルがたくさんありました。
例えば尻尾を振るというのも、愛犬の表情や、その振り方で意味は違ってくるもの。
また、このカーミングシグナルには含まれていませんが、よく「服従の証」と呼ばれるお腹を見せも、その状況によって意味はかなり違ってきますし。
●合わせて読みたい
犬が仰向けでお腹見せ(ヘソ天)する意味。服従ではないことも?
犬同士の挨拶は多種多様!伏せや鼻チョンにはこんな意味があった
ということで、もう少し分かり易く、なおかつ日常的によく見ることのあるシグナルをピックアップ!
愛犬との関係を壊さない為にも、ぜひ知っておいてもらいたいサインについて、詳しく解説していきたいと思います。
勘違いされやすいカーミングシグナルの意味
トイレの失敗、粗相をする
おしっこをするのは生理的な排泄のほかに、カーミングシグナルの役割を持つことがあります。初対面の犬同士が匂いを嗅ぎ合い、好意的な気持ちを持ったときにもおしっこをすることがあるんですよ。
これは嗅覚の鋭い犬ならではの行為で、自分のおしっこを匂いを嗅がせることで「仲良くしようね!」と訴えているのだとされています。
ストレスや恐怖からの排泄もある
カーミングシグナルとしての排尿は、時にネガティブな気持ちを訴えている場合もあります。よく聞くのが、お客さんが家に来たときに愛犬が粗相する、またはおしっこの回数が異様に増えるというケースです。
これは知らない人が自分のテリトリーに入ってきたことに犬が緊張し、強いストレスや恐怖を感じたためだと思われます。おしっこをすることで、自分の気持ちを落ち着かせ、それと同時に相手にも「落ち着いてね、なにもしないでね」と訴えているんです。
うちにも知らないわんちゃんが苦手な子がいますが、ドッグランや公園で犬がたくさん集まっている気配を感じると、何度もおしっこをするようになります。そういう時は、ささっと早足でその場所から離れるようにしています。
あくびをする、視線を反らすしぐさ
愛犬にして欲しくない行動をされた時、ついつい「なにしているの!」と叱った経験はありませんか?こんな場面でに犬がよく見せるカーミングシグナルに、あくびや視線を反らすといったサインがあります。
私たち人間の感覚でいうと、
あくびするなんて反省していない!
目まで反らして、こっちを馬鹿にしているの!?
なんて、思ってしまいがちですが・・・。それは私たちの勘違いなんです。
実は犬からすると、この行動は「そんなに怒らないで」「落ち着いてよ~」「怖い!落ち着かなくちゃ」という感情を表しているんですね。
決して馬鹿にしているのではなく、感情が高ぶっている(と愛犬は思っている)飼い主さんを落ち着かせるために、犬が判断して送ってきたボディランゲージだったんです。
それなのに、「ちゃんと目を見なさい!」と無理やり愛犬と視線を合わせようとするのは、そもそも本末転倒なんだだとわかります。
こんな思い違いを繰り返していると、愛犬にとって、飼い主さんは自分の気持ちを分かってくれない怖い人、と認識されてしまう可能性があります。
眠そうなときや、退屈なときのあくび以外には、こういった意味があるということもお忘れなく!
ブルブルと体を震わせるしぐさ
愛犬をシャンプーした後にブルブルブルッ!と身震いする様子、見たことがあると思います。日常でもこれはよく見られるしぐさで、濡れてもいないのにどうして今ブルブルってしたんだろう?と疑問に思いませんか?
体を振るわせるカーミングシグナルは、自分の気持ちを落ち着かせるため、という意味でした。
よ~く思い返してみると、犬が苦手な歯磨きや爪きりをした後だったり、お散歩中に苦手な場所や他のわんちゃんとすれ違った後などに、ブルブルと身震いする行動を見せることがあります。
これは、その時に感じたストレスを体を振るわせて落ち着かせるための行動で、逆を言うと、このしぐさが見られたときに「この子はこんな事が苦手なんだな」と知る材料にもなります。
ちなみに、愛犬を可愛がりたくって、たくさんヨシヨシと撫でてあげた直後に、愛犬がブルブルっと身震いしていたとしたら・・・
ちょっとショックなお話かも知れませんが、犬は正直なものですヾ(;´▽`A“
その撫で方がお気に召さなかったのか、もしくはちょっとしつこかったのかも知れませんね。
犬語がわかる飼い主になるために
私たち人間は、言葉を使ってコミュニケーションを取るあまりに、ボディランゲージを見落としがちになってしまうと感じています。反対に、犬たちは言葉を持たないからこそ、小さなしぐさや行動を使って、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを汲みとることに長けていると思うんですよね。
愛犬と話せたらどんなに良いんだろう、と私もよく思います。
ですが、少し視点を変えて、日常生活の中の愛犬のちょっとしたしぐさを読み解くだけで、こんなに愛犬がおしゃべりだったのかと気付かされることになりました。
さっきのあくびはどんな意味?
どうして今、この子は視線を反らしたのかな?
そんな捉え方を心がけるだけど、きっと今までよりも愛犬の気持ちを汲み取る助けになりますよ♪
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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