愛犬がお腹を天井に向けて、ごろーんと寝転がっている姿。
いわゆる「ヘソ天」するワンちゃんの姿は微笑ましくて、見ているだけで癒される飼い主さんも多いはず。
可愛くてついつい撫でたくなる「犬がお腹を見せる行為」。これにはどんな意味や理由があるのか知っていますか?
犬がお腹を見せるのは「服従」の意思という見方が一般的ですが、実はその他にもたくさんの犬のきもちを示していたんです。
一体どんな意味や気持ちでヘソ天しているのか、それを見極めるポイントについても、併せてご紹介していきますね。
仰向けは服従や降参です!のサイン
犬のお腹は毛が薄く、他に比べて傷つきやすい「弱点」な部分。そのため、野生のオオカミや、警戒心の強い犬の場合、相手にお腹を見せることを極端に嫌う傾向があります。
その弱点であるお腹を他の犬に見せることは、「もう降参です!あなたに敵意はありませ~ん!」という気持ちを表しています。
お腹と言う弱点を晒すことで「あなたが上です。従います!」という、絶対服従の意味を表しているわけなんですね。
飼い犬の場合でもこれは同じで、ワンちゃんがお腹を見せるときの意味として、最も多いのがこの「服従」「降参」の意味です。
ドッグランなどでも、ちょっとテンションが上がりすぎたかな?という激しい犬同士のじゃれ合いを見かけることが時々あります。
飼い主さんが仲裁に入る場合もありますが、どちらかの犬が「降参です!」と自分のお腹を見せて、それをきっかけに争いが収まるパターンがほとんどです。
もしくは争いを避けるために、どちらかのワンちゃんが「自分に敵意はないので、落ち着いて!」という意味でも、あえて自分のお腹を見せて相手を落ち着かせるという場合もあります。
犬がお腹見せする理由
これが犬同士だけでなく、飼い主さんへのメッセージとしてよく使われるのは飼い主さんに叱られたときが多いですね。いけないことをしたワンちゃんを叱ったり、叱ろうとすると、なぜか突然ゴロン!とひっくり返ってお腹を見せてきたことはありませんか?
他にもこんな様子が見られたら、そのお腹見せ行動はこのパターンに当てはまります。
見極めポイント
- 耳が下がっている
- 尻尾をお腹側に巻き込んでいる
- 目を合わせようとしない
- 目が合ってもすぐに逸らそうとする
このパターンでの意味は飼い主さんに対しての「服従」や「降参」であり、「ひえ~!ごめんなさい!」という気持ちを表しているんですね。
またデリケートなワンちゃんの場合、この状態でお腹に触ろうとするのは要注意です。
飼い主さんに許してもらえないかも…!?と極度の緊張状態になっていることがあり、そうすると触った拍子に驚いたワンちゃんに噛みつかれてしまうことも考えられます。
緊張が解けて落ち着くまでそのままそっとしておくか、「ヨシ!」などの許可の言葉で、まずは許してあげましょう。
腹見せは信頼や愛情表現
子犬は母犬に体を舐めてもらいたい時、母犬にお腹を見せて「おかあさ~ん!」と伝えます。これは母犬を「信頼」して、甘えている証なんです。この習性は、犬が成長しても消えないとも言われています。
飼い主さんを見ただけで、ごろーんとお腹をみせてくる場合は「大好き!」「甘えたいな~」のメッセージかも知れませんね。
見極めポイント
- 尻尾を振っている
- 口元がだら~んとゆるんでいる
ヘソ天で嬉ションしてしまうのは…
このお腹を出した状態で、なぜかおしっこを漏らしてしまう子もいます(笑)生まれたばかりの子犬はまだ排泄機能が十分でなく、母犬は子犬の鼠径部(お股のあたりですね)を舐めることで、おしっこを促していました。
子犬の頃のその癖が抜けきらず、愛犬があなたをお母さんのように思っている、という気持ちの表れかも知れません。
「どうしてうちの子はうれしょんするの?」と気になったら、こちらの記事を参考に。
<関連記事>犬のうれしょん!理由や原因は?正しいしつけと治し方。
飼い主さんに甘える意味でお腹を見せながら、尻尾をフリフリしていることもありますよね(*´∀`)
これは「ここ、撫でて~♪」という、飼い主さんへのアピールの意味にもなります。
尻尾を激しくブンブン振っているときには、もう「撫でて!早く撫でて!もっともっと!!」というくらい期待していると思ってあげましょう(笑)
仰向けでヘソ天=安心やリラックス
先にお話ししたように、犬にとってお腹は最大の弱点。これを無防備に見せている理由のひとつに、「究極にリラックスしている」からという場合があります。いわゆる「ヘソ天」の状態ですね。
ベッドやソファの上で、お腹をごろんと見せてスヤスヤ眠っている…
これは、愛犬が信頼している人の前や、安心出来る場所でしか見せないポーズです。
見極めポイント
- 尻尾がだらーんと伸びきっている
- 脱力して、眠そうにしている
自然界ではありえない姿ですが、平和で安心できる環境だからこそ、愛犬も警戒心のスイッチを切ることができるんですね。
この「警戒心を解かせる」ところを利用して、飼い主さんの膝の上でお腹を出させるトレーニングもあります。愛犬との信頼関係を築き、主従関係も理解させやすいので、パピーパーティなど、しつけの土台として取り入れている場合が多いです。
リラックスポジションと呼ばれるものですが、とっても簡単なトレーニングなので、毎日の暮らしにぜひ取り入れてみて下さい♪
<関連記事>「リラックスポジションで信頼関係を!基本のやり方とコツ」
たとえば家に迎えたばかりのワンちゃんは警戒心が強いため、なかなか仰向けの体勢で寝てくれません。
ヘソ天で眠ってくれるようになったら、それは新しい家に慣れて、安心できる場所と認識してくれたというサインだと思いますよ。
犬の「撫でろ!」の要求かも?
少し注意したいのが、この「要求」という意味合いのお腹見せです。ここまで紹介してきた服従やリラックスのサインとは異なり、犬が人との共同生活の中で学習して、この行動を取ることがあります。
例えば、こんなパターン。
- おねだりしている
- こうすれば許してくれるんでしょ?
↓ ↓
撫でて欲しいときは、お腹を見せればいいんだ!と学習。
ブラッシングや爪切りを嫌がって、お腹を見せたら「仕方ないなあ」とされずに済んだ。
↓ ↓
お腹を見せれば、嫌なことをされずに済む!と学習。
こんな風に、お腹を見せる行動と、犬にとって嬉しいこと(撫でてもらえる、怒られない、爪切りをされない)が結び付くと、服従などとは別の意味で、お腹を見せるようになります。
こうなってくると、常に犬の要望を人が受け入れる形になりやすく、主従関係が崩れる原因にもなります。
主従関係がしっかりしていないと、「マテ」「オスワリ」を聞かなくなったり、お腹を撫でるのをやめると犬が不機嫌になったりするなど、愛犬との生活に支障が出るようになってしまいます。
主従関係はメリハリを付けで維持!
主従関係を重視するあまり、「犬がお腹を見せてきても、放っておきましょう」といった専門家の意見も中にはあります。ですが、わたしはとても無視できそうにないので(笑)、愛犬が甘えたくてお腹を見せている時などは、思う存分撫でてあげます。反対に、イケナイことをしたらきちんと叱る、爪切りなどを嫌がってもする、といった姿勢を貫くのも重要です。
ここまでで紹介してきたお腹見せの見極めポイントをしっかり覚えておくと、「これは甘えたいんだな」「これは要求かも?」と見分けられるようになります。
甘さと厳しさのメリハリをつけることを意識して、愛犬の要求に従い過ぎず、しっかり愛犬と向き合ってあげましょう。
犬が仰向けになったら…
愛犬がお腹を見せてきたら、尻尾の状態や顔の様子などから、それがどんな意味なのかをまず汲み取ってあげるように意識します。ワンちゃんは今怖がっているのか、それとも甘えているのか…、それとも??
また、ワンちゃん自身が「〇〇のときはお腹を見せる!」と、それまでの経験から学習していることもあります。
たとえばうちの子はブラッシング用のブラシを持つと、すぐにゴロンと寝転んでお腹を見せてきます(笑)
お腹をブラッシングされるのが好きなので、彼女なりに考えてのお腹見せ行動なんでしょうね。
こんな風に、それまでなかったタイミングで、愛犬が突然ごろーんとお腹を見せてきたら…。それはどんなメッセージなのか、ゆっくり考えてみるのも楽しいですよ♪
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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