メスのワンちゃんは、成長すると必ず生理を迎えます。
犬の生理は人間のものとは全く違っていて、人間の基準で考えてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性がとっても高いんです。
「うちの子、いつから生理が来るんだろう」
「そもそもヒートってなに?生理のこと?」
「生理はいつ終わるの?お出かけはいつからOKなのかな」
今回は、こんな飼い主さんの疑問にお答えしていきます。
正しい犬の生理のメカニズム(期間や周期、症状)や、生理中の愛犬のために飼い主さんができることについて詳しく知っていきましょう!
犬の生理(ヒート)のしくみ
まずは犬の生理のしくみについて、簡単にお話していきますね。犬の生理と人間の生理、呼び方は同じなのですが、実はその役割はまったく違います。
- 人間の生理 妊娠の準備が整ったあと、受精しなかったときに起こる
- 犬の生理 妊娠の準備中に起こる
(生理前後は妊娠しにくいとされる)
(生理の出血後が、最も妊娠しやすい)
出血があるというところは人間と同じですが、犬の生理は「妊娠できる準備ができたよ」のサインなんです。
それなのに人間の生理と同じ解釈をしてしまって、「生理が終わったから、もう安心ね♪」とドッグランなどに連れて行ってしまうケースも少なくありません。愛犬が一番妊娠しやすい時期に、オスのワンちゃんに触れ合わせるような場所に連れて行かないように、飼い主さんが気をつける必要があります。(生理の終了時期についても、後ほど詳しくお話していきますね)
人間の生理と区別する意味でも、犬の生理はヒート(発情期)とも呼ばれています。
いつから始まる?犬の発情期
犬の生理(ヒート/発情期)は、生後6~10ヶ月ごろに始まります。ですがこれは個体差が大きく、もう少し早い子もいますし、反対に遅めの1才半くらいで始まる子もいます。
また犬の体格よっても異なり、大型犬よりも身体の成熟が早い小型犬が、先に生理を迎える傾向があります。
いつから生理が始まるかはその子次第なので、小型犬であれば生後6ヶ月ごろから、大型犬なら生後10ヶ月あたりから、普段と違う様子が見られないかチェックしてあげて下さいね。
犬の生理期間や周期について
犬の生理期間は「発情前期」「発情期」「発情後期(休止期)」の3つに分かれていて、この3つの時期を終えることで、やっと「発情期が終わった」ことになります。この生理期間には出血が止まる時期も含まれているので、「出血が止まったからもう大丈夫」と安心しないようにして下さいね。
むしろ、出血が止まってからが一番妊娠しやすい時期なんですよ。

- 発情前期(約10日)
- 発情期(約10日)
- 発情後期(休止期)(約2ヶ月程度)
おしっこの回数が増えるなど、マーキングするような行動が見られることも。
フェロモンでオス犬を引き寄せるようになりますが、まだ受け入れ態勢は出来ていません。
この時期の2~3日目に排卵が起こり、交尾を受け入れるようになります。すでに出血が止まっている場合もあるので、安心して外に連れ出してしまうかもしれません。ですが、最も妊娠に気をつけなければいけない時期がここです!
妊娠が成立していた場合には、およそ二ヶ月(63日間)の妊娠期間ののちに出産します。妊娠していないときでも、まれに「偽妊娠」という症状が現れる場合もあります。
犬の生理周期は、およそ5~10ヶ月の周期でこの生理期間(発情前期・発情期・発情後期)を繰り返します。
生理周期の長さは犬の体格によって異なっていて、小型犬で年2~3回、大型犬では年1~2回ほど生理(ヒート)が起こるのが平均的な回数です。
年齢と共に生理周期が長くなるといった傾向はありますが、人間のような閉経はありません。そのため、体力が落ちているシニア犬が、望まない妊娠をしてしまった…といった事態は避けたいものです。
生理前の症状はコレ!愛犬をよく観察しよう
生理(ヒート)前になると、愛犬にいつもと違った様子がみられるようになります。その様子に「ちょっとおかしいかも」と飼い主さんが気付き、何かの病気では!?と戸惑ってしまうパターンも多いんです。
生理前の犬に見られる様子・症状はこんなものがあります。
生理前の犬に見られがちな症状
- おしっこの回数が増える
- トイレを失敗してしまう
- 元気がない
- 食欲がない
- 散歩中など、熱心に地面のニオイ嗅ぎをする
- 触られるのを嫌がるなど、神経質になる
- 落ち着きがない
- 甘える・そっけなくなるなど性格の変化がみられる
こんな症状が目立ってきたら、生理(ヒート)が近い可能性があります。
愛犬の生理周期が近付いていないか、もしくは初めての生理を迎えていない子は、その月齢に達していないか考えてみましょう。
避妊手術したらどうなる?
望まない妊娠の予防、病気予防などの目的から、愛犬に避妊手術を受けさせることもできます。避妊手術を受けると生理(ヒート)はなくなり、先ほど紹介した図の「無発情期」の状態が続くようになります。
初めての生理を迎える前に受けさせるケースが多いですが、何度か生理期間を迎えたあとでも、避妊手術を受けることは可能です。ご家族やかかりつけの病院ともよく相談して、決断して下さいね。
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生理中の犬の主な症状

出血がわかったら、それが生理期間の「発情前期」に入ったというサインになります。
生理の出血量は個体差があり、特に身体の小さな子ほど出血量が少ない傾向があります。
経血を自分でペロペロと舐めてキレイにする性格の子もいるので、飼い主さんが生理のはじまりに気付きにくいかもしれません。
生理中の症状には、出血のほかにこんなものがあります。
生理中の犬の主な症状
- 落ち着きがない
- 散歩など、外へ出たがる
- 元気がない
- 食欲がない
- イライラするなど情緒不安定な様子
- オス犬のそばに行きたがる
犬の生理(ヒート)で特に症状が強くなりやすいのは、出血から7~10日目あたりまでです。
そわそわと落ち着かないことが多く、元気いっぱいに走り回ったかと思ったら、ぐったりと寝てしまったり…と心身ともに消耗が激しくなる子も多いようです。
どうしても心配で構ってあげたくなりますが、自分の身体の変化に愛犬も戸惑っているはず。なるべく普段どおりに接してあげることが、愛犬の不安を和らげてあげる手助けになりますよ。
愛犬の生理中に気をつけるべきこと

どちらも愛犬の健康や安全を守るために大切なことなので、ぜひ心がけてあげて下さいね。
衛生面に気をつけて
生理中の外陰部は腫れているので、トイレのときに地面と触れやすく、そこからばい菌が入って膀胱炎になりやすい傾向もあります。舐めたりオムツで蒸れたりして、皮膚も普段よりデリケートな状態です。汚れをこまめに拭いてあげるなど、清潔に保つようにしてあげて下さいね。
また、生理中は出血が続くため、出血量の多い子は生理用パンツやナプキンが必要です。
こういったアイテムを使うときには、こまめに取り替えて、常に清潔な状態にしてあげて下さい。長時間ずっと同じものを使い続けるのは絶対にやめましょう。そこにばい菌が繁殖して、オムツかぶれや膀胱炎などになってしまうことあります。
最近はマナーウェア(生理用としても役立ちます)の種類も増えて、かなり使いやすくなりました。
こちらは赤ちゃんのオムツでお馴染みのユニ・チャームのペット用ウェア。作りもしっかりとしていて、おしっこや経血が漏れにくい構造になっています。
サイズ展開も豊富なので、いざという時のためにうちでも備蓄しています!
生理用パンツは便利ですが、出血量が微量だったり、自分ですぐに舐めてキレイにする子であれば、必ず着けないといけないわけではありません。
ただ、そのまま部屋の中で過ごさせると、カーペットやクッションなどに血が付いてしまうことも。
その対策として、愛犬が普段過ごす場所には清潔なバスタオルを敷いておくなどして、汚れないように気をつけましょう。
ヒート中はオス犬と接触させないで
生理中のメス犬は強いフェロモンを発していて、このフェロモンに去勢されていないオス犬は強く反応します。激しく吠えてアピールしたり、リードを引きちぎって脱走する、他の犬に襲い掛かってケガをさせるなど、とにかく猛烈な勢いでメス犬と交尾しようとします。わたし達からすると少々驚きの行動ですが、これが子孫を残すという本能なんだと考えると、なんだか納得してしまうようなヾ(;´▽`A“
これは同居している犬同士でも起こることなので、未去勢の同居犬がいる場合には、生理中は同じ空間で過ごさせないようにして下さい。じゃれて遊んでいるうちに、いつのまにか交尾が始まってしまうこともあります。
なぜ生理中は施設利用できないの?
ドッグランやドッグカフェ、ホテルなどでも「ヒート中のワンちゃんはご遠慮ください」という注意書きがされていますよね。
これには望まない妊娠を防ぐほかに、フェロモンに興奮したオス犬同士の喧嘩やトラブルを防ぐという意味もあるんですよ。
自分の子孫を残したいと考えるのが動物の本能なので、周りのオス犬と争って「自分が強いんだよ!」とメス犬にアピールしたい気持ちがそうさせるようです。
生理中に散歩に行っていいの?

ただでさえストレスを感じやすい時期なので、ワンちゃんにもいつも通りの生活をさせてあげたいですよね。
色々な考えはありますが、私的にはこんなポイントにさえ気をつければ、生理中の散歩も問題ないと考えています。
- 生理用パンツを履かせる
- 別の犬に近付けない
- 早朝、夜など散歩の時間を変える
他のワンちゃんが多い時間帯や、そういった地域で散歩するときにおすすめです。
愛犬にとっても「いつもと違う時間の散歩」は新鮮に感じられるので、ストレス解消にもなりますよ。
いつまで続く?犬の生理期間

先ほどお話した生理期間(発情前期・発情期・発情後期)で考えると、オス犬との接触に最も注意しなくてはいけないのは発情前期・発情期でしたよね。
それを計算すると…出血が始まってからの約20日間が、妊娠する可能性が最も高い期間です。
ブリーダーさんによっては、妊娠を望まない場合は出血から約1ヶ月間はオス犬に近づけないようにとアドバイスしている方もいます。
さらに、終了のめやすになるのが外陰部の腫れです。
ヒートが終わると腫れていた外陰部が元の大きさに戻るので、こまめにチェックしてみましょう。
出血から20~30日間が過ぎていて、外陰部の腫れもおさまっているようなら、オスを受け入れる時期は過ぎています。普段の生活に戻って大丈夫ですよ。
様子がおかしければ病院へ
生理中の症状はさまざまで、いつもより少しソワソワする程度で終える子もいれば、心配になるほど体調を崩してしまう子もいます。下痢や嘔吐・食欲不振が続くワンちゃんもいるので、そういった様子が見られたら迷わず動物病院を受診しましょう。
最後になりますが、犬はとっても妊娠しやすい動物です。
生理後も体調が戻らない愛犬を飼い主さんが心配して、病院で診てもらうと…まさかの妊娠!!、という話をよく聞きます。
直接オス犬と触れ合わせなくても、フェンス越しでも交尾してしまうケースもあった、と獣医師さんに聞いたこともあります。生理中にお家の庭などで遊ばせるときにも、飼い主さんが目を離さないように気をつけて下さいね。
ワンちゃんだって辛いブルーデイ、少しでも快適に過ごせますように。
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。

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