女の子のワンちゃんと暮らしていると、犬の避妊手術について耳にしたことや、受けさせるかどうか考えた事が一度はあるはず。
獣医師さんや、ブリーダーさんの多くは避妊手術を勧めています。
それでも「手術するべきか…」と悩む飼い主さんも、決して少なくはありません。大事な愛犬のお腹にメスを入れる行為なので、慎重に考えたくなるのは当然ですよね。
ということで今回は、避妊手術の様々な疑問や、手術の時期、どんなメリットやデメリットがあるのか、詳しくまとめました。
よく言う「術後に太った、性格が変わった」という点についても、個人的な印象も併せて紹介しますね!
なぜ避妊手術が必要なのか
避妊手術は、単に子犬を産ませないため、という目的だけではありません。もちろん、望まない妊娠を避けるためでもありますが、今後発症する可能性のある病気を予防するためにも、避妊手術は推奨されています。
メス犬に多い子宮や卵巣の病気
- 乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)
- 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)
- 卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)
特に発症率が高い疾患は、子宮の中に膿が溜まってしまう子宮蓄膿症です。
出産経験のない、7歳~のシニア世代のメスのワンちゃんが発症する傾向が高く、場合によっては腎不全を起こして、命を落とすパターンも。
避妊手術を受けておくと、この疾患の心配をせずに済むというメリットが大きいですね。
避妊手術の時期で予防確率が変わる
病気を避けることが出来る確率は、避妊手術を受ける時期によって異なってきます。獣医師さんによって意見が分かれますが、ポイントは初めての生理の前か後かというところです。
初ヒート(生理)前に処置をする
一般的に、多数派と感じる意見がこちら。初めての生理(ヒート)が来る前に、避妊手術を受けさせるという方針です。この時期に避妊手術を受けておくと、かなりの確率で病気を予防出来るとされています。
初ヒートの時期
個体差はありますが、生後6ヶ月~10ヶ月頃に初めての生理(ヒート)を迎えます。早い子だと生後4ヶ月、遅めの子なら生後1年を過ぎることも。平均的に、小型犬の方が初潮が早く、大型犬は遅くなる傾向があります。
生後1年~成犬してから処置する
次に、生まれてから1年ほど経って、初めての生理を迎えてから、手術を行うのが適切だという方針です。成長途中の子犬とは異なり、しっかりと骨格が出来上がってからの方が良いという意見ですね。
体が小さい時期に手術をすると、子宮や卵巣が小さすぎて、取り除くのが難しい場合もあるようです。
確かに、ここ数年は「極小サイズ」の小型犬が好まれる風潮もあります。
成犬後のサイズがとても小さいことから、その子犬期となれば、体や臓器の大きさはかなりのミニサイズに。あまりにも小柄な子の場合は、体が成熟するのを待つことも必要かも知れませんね。
成犬後のサイズがとても小さいことから、その子犬期となれば、体や臓器の大きさはかなりのミニサイズに。あまりにも小柄な子の場合は、体が成熟するのを待つことも必要かも知れませんね。
私が普段お世話になっている獣医師さんは、どちらも容認派。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、飼い主さんの気持ち次第だという方針だそうです。
- 愛犬の骨格、体型
- 同居犬の有無
- 飼い主さんの生活環境
こういったところで判断して、避妊手術の時期を決めるといいかも知れません。
また、同居犬がオス犬の場合。
もちろん、未去勢の子であれば、初ヒート前の手術を推奨します!ですが、去勢済みのオス犬でも、ヒート時の女の子の匂いには反応しちゃうんです。交配できないオス犬にとっては、これは強いストレスを感じてしまうそうで…。
同居犬が男の子であれば、その子のためにも、早めの避妊手術を考える必要があると感じます。
避妊手術の費用はいくら?
避妊手術にかかる費用は、犬種(特に大きさ)や動物病院によって異なります。相場は約30,000円~50,000円程度で、日帰り手術をする病院が多いようです。お住まいの地域によっては、避妊手術に補助金が出る場合もありますので、一度相談してみましょう。
→ 犬の避妊・去勢手術が助成金が出る?補助金を申請してみよう
避妊手術で性格が変わるってホント?
冒頭でも触れた話題ですが、「避妊手術前後で、性格が変わる」という話をたびたび聞きます。これって実際のところは、どうなんでしょうか?うちの愛犬たちや、周囲の犬達の様子を観察してみると…
- おてんばで気が強い女の子犬
- やんちゃな性格の女の子犬
- フレンドリーな女の子犬
術後も特に性格に変化がないまま1才、2才を迎えて、3才頃から少し落ち着きが出てきた。
子犬期から活発でやんちゃな遊び方をしていましたが、2才になった頃から少し穏やかに。
ドッグランなどでも、すぐに他の子に寄って行って仲良くする子でした。
ただ、初ヒートが近い時期(生後8ヶ月頃)になると、率先して遊びの輪に入らなくなりました。
私の印象としては、避妊済みかどうかでは、あまり性格の違いがないような雰囲気です。
女の子犬の場合、避妊手術の前後で性格が変わるか、という部分は個人的に「う~ん?」といった感じですね。
手術という体への影響よりも、精神的なところの成長度合いで、性格が変化していくように思います。
この「性格が変わる」という部分では、男の子犬のほうが現れやすいと感じます。
去勢手術によって、攻撃性が削がれるような感じになり、少し大人しくなる傾向が見られます。
<関連記事>愛犬が去勢手術後に変わった!?術後の性格などの変化について
術後に太る、太りやすくなる、は実際ある?
避妊手術後は、術前に比べて肥満になりやすい、太りやすいという傾向はよく見られますね。みんなが必ずそうなるというわけではありませんが、明らかに太りやすくなったなあ…と感じる飼い主さんが多いはず。- 体に必要なカロリーが変化する
- ホルモンの影響
- 繁殖・性欲の代わりに食欲が増す
一説では、それまでの必要カロリーから10~30%減少するとのことです。
それまでと同じ量のご飯でも、術後は余分なカロリーが増えてしまい、結果的に太ってしまうわけなんです。
避妊手術によってこれらが無くなることで、筋肉の維持に使われていた栄養分が、脂肪として蓄えられるようになり、太ったと感じやすくなります。
術後の食欲増進は心配無用!
避妊手術後すぐに、それまでよりも食欲が増すことがありますが、それは心配しなくて大丈夫。動物の防御本能として、体の傷を修復するために、栄養を蓄えている行為です。この時ばかりは、食べたいだけ食べさせてあげて構わないと思います。
リスクと安心、どちらを取るか。
確かに、避妊手術をしたからと言って、すべての病気を防げるわけではありません。ですが、私個人としては「防げる病気は防ぎたい」と思っていますし、愛犬たちにも避妊手術を受けさせてきました。
オスのワンちゃんに気兼ねなく散歩に連れて行けますし、同居犬にも無用なストレスを与える心配もないのは、飼い主側としても安心です。
飼い主さんが納得できる形で決断するのが、何より大切だと思います。大切なワンちゃんのために、たくさん考えてあげて下さいね。
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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