お正月に欠かせない食べ物といえば「お餅」。
家族みんなが美味しそうに食べているお餅に、「ぼくにも(わたしにも)ちょうだい~」と、ウルウルした視線で訴えてくる愛犬も多いはず。
縁起物のお餅だからねと、ついつい愛犬の口にもお餅を運んであげたくなりませんか?
ですが、そのままお餅を食べさせるのは・・・ちょっと待った!
犬がお餅を食べても大丈夫なのか、考えられる危険性を知っておいたほうが安心です。
この時期に起こりがちな「犬と餅の事故」や、もしもの時でも家庭でできる緊急対応策などについて、詳しくご紹介します!
犬は餅を食べても大丈夫?
犬が人間の食べ物を食べてはいけないといわれる理由に、犬にとってその食べ物が「毒」になる可能性があることが挙げられます。この場合、お餅はどうかというと・・・お餅の原材料はもち米(お米)ですよね。
お米そのものに犬が中毒を起こす成分は入っていないので、犬がお餅を食べたことで中毒を引き起こすことはありません。ただ、私たちが食物アレルギーを起こすのと同じで、まれにお米にアレルギーを起こすわんちゃんが居ます。
犬のお餅(お米)にアレルギーに注意を
人間にとってお米はアレルゲン(アレルギーの元となる物質)が含まれていない食べ物といわれていますが、これは犬には当てはまらないようです・・・。犬の食物アレルギーで、最も起こりやすいのが「かゆみ」や「皮膚の赤み」です。
お米由来の食べ物を口にしたあと、もしも愛犬がやけに体をかゆがったり、口周りやお腹などの皮膚が赤くなっているときには、食物アレルギーの可能性が疑われます。
動物病院でアレルギー検査も受けられますので、気になったときには是非受けてみることをおすすめします。
餅を喉に詰まらせてしまう可能性が高い!
お餅そのものに毒性はないということで、じゃあ与えても大丈夫だね~と、安心してしまうのはまだ早いですよ~!犬がお餅を食べるとき、最も恐ろしいのが・・・。
犬の喉に餅がへばりついて呼吸困難になってしまうことなんです。
もっちりと弾力のあるお餅はとても美味しいですが、そのネバネバ感が命の危険を招くこともあるんですよ。
お正月シーズンなど、お餅をよく食べる時期になると、「餅を喉に詰まらせて救急搬送される」というニュースがよく報道されていませんか?実際にこの事故で亡くなられた方や、命の危険があったという方は少なくありません。
人間の場合だと、この類の事故は飲み込む力が弱くなっている高齢者の方に見られがちです。
ですが犬の場合となると、若い成犬でも関係なくこの事故が起こりやすいんです。
というのも、犬は食べ物を食べるとき、人間のようにモグモグモグ・・・とよく噛む習性がありません。大抵がモグ、ゴックン!のひと噛みで、すぐ丸呑みしてしまうんですね。
これは犬の個体差もあって、食べ慣れない食べ物はくっちゃくっちゃと口の中で確かめる、慎重な性格の子もいます。反対に、口に入る大きさの食べ物であればすぐに飲み込んでしまう豪快な子もいますね。
餅を愛犬に食べさせるのはおすすめしません
お正月のお餅は縁起物だから・・・と、大切な家族である愛犬にも食べさせてあげたい気持ちがありますよね。ですが、もしも喉に詰まらせてしまったら、呼吸困難になったら、というリスクがあまりに高いように思います。
お正月シーズンは動物病院もほとんどが閉院しており、救急病院に連れて行こうにも運転手さんがお酒を飲んでしまっていたり・・・と、普段どおりに動けないことも増えてしまいがちです。
それでも、どうしてもお餅を愛犬におすそ分けしたい!という時にはこの方法がおすすめです!
ものすごく小さく(米粒大ほど)に切って、数粒だけ食べさせる
これくらい慎重にしたほうが、わたしは安心だと感じます。
縁起物をおすそ分けする、という意味で言うと、これくらいの少量でも十分効果があると思いますよ~!
冷えて硬いお餅なら大丈夫?
「餅のネバネバが危険なら、冷やしてカチコチになったお餅なら犬に食べさせてもいいのでは?」もしかしたら、こんな変則技を思いついたかも知れませんヾ(;´▽`A“
確かに、冷えたお餅だと弾力性がなく喉にへばりついてしまう危険は無くなりますが・・・実はこれもおすすめできないんです。
なぜなら、犬は雑食寄りの肉食動物といわれていて、完全肉食(肉以外は食べられない)ではないものの、お米をはじめとする炭水化物や野菜類を、そこまで必要としない生き物なんですね。
これを言い換えると、犬はお米や野菜を人間のように、上手に消化吸収することができません。
カチカチのお米は下痢を招く?
お米を柔らかく炊いたご飯やお餅は、犬にとっても消化しやすい状態です。ですが、カチカチのお餅や冷えて硬くなったご飯の成分には難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)が増えて、私たち人間でも消化しづらい食べ物になってしまいます。この状態のお米を犬に与えると、消化できないまま腸を刺激して、その結果下痢を起こしてしまうパターンがよく見られます。
そのため、硬くなったお餅を愛犬に食べさせたらその後ひどくお腹を壊した・・・ということになってしまうんですね。
どうしても愛犬にお餅をあげたい時は、先程紹介したとおり、米粒大に小さく千切って少量与えるようにして下さいね。
餅が愛犬の喉に詰まった!緊急時の対応策
飼い主さんが気をつけていたとしても、盗み食いの達人である犬が「あー!」とやらかしてしまう事も勿論あると思います。こんな緊急事態のときのために、愛犬が柔らかいお餅を食べてしまったときの対応策について、順番にお話しておきますね。
- まずは飼い主さんが落ち着く
- 犬がえづいたり、苦しそうな様子はないか
- どこに詰まっているかと目視する
- 喉の浅い位置の詰まりには逆さトントン!
まずはひとつ深呼吸をして、次のステップに進みましょう。
反対に、食べてしまった餅が気道を塞ぐようにくっ付いた場合には、すぐに愛犬がオエッとえづいたり、上手に息が吸えず苦しそうな様子を見せます。
(犬自身が自分で咳き込んで、詰まった食べ物を吐き出してくれることもあります)
覗いたときに見える位置にお餅が詰まっているのであれば、まだお家での救急対応が続けられます。
反対に、見えないくらい奥の位置で詰まっているようであれば、急いで動物病院へ!
喉の粘膜はとてもデリケートな部分なので、飼い主さんがお箸や棒を突っ込んで取り出そうとするのは絶対にやめましょう。また、塩水やオキシドールで吐かせるという方法はありますが、喉に異物が詰まった状態で何かを口に入れるのもとても危険なので、これもやめてとにかく病院へ向かうようにして下さい。
そのままの状態で背中を軽くトントンと叩き、吐き出しやすいよう介助してあげましょう。
何度が繰り返して、それでも吐き出してくれないようであれば、こちらも急いで動物病院へ向かいましょう!
この逆さトントンですが、以前に動物病院の先生から、もしもの時のために教わっていた方法です。
その後、うちのトイプードルがデンタルケアのおやつを丸呑みしてしまった時、あわてて逆さ向きに抱っこして背中を叩きました。異物が細長かったので吐き出しきれませんでしたが、喉の奥から異物の端っこが出てきていたので、私が手を突っ込んで引き出したのを覚えています(ここは自己責任です)
トイプーさんは吐き出した後、しばらく呆然としていましたが・・・しばらく経つと普段通りに過ごし始めたのでホっとしました。
それ以来、丸飲みが恐ろしくて齧る系のおやつは必ず私が端っこを持って食べさせるようにしています。
犬が餅を食べても中毒にならないけど危険も多い
それでは、最期におさらいです!- お餅は犬にとって毒性はありませんが、喉に詰まらせる危険性が高いので食べさせないのが安心
- お米に食物アレルギーを持つ犬もいることを忘れずに
- どうしてもおすそ分けしたときには、米粒大ほどに小さく千切って与える
- 冷えて硬くなったお餅は、犬がお腹を壊してしまうことが多いので控える
- 喉に詰まらせたときには状態を確認して背中トントン、もしくは病院へ
せっかくの楽しいお正月、ちょっとしたことが大きな事故になってしまわないように・・・
愛犬の盗み食いにも十分気をつけて、穏やかにお過ごしください♪
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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