d59adf77f86822535c1104fe01f24cab_s お刺身が食卓に上がると、うらやましそうに愛犬が見つめてくること…ありませんか?
ついつい「一切れだけね!」とお裾分けしてしまいたくなりますが、犬はお刺身などの生魚を食べても大丈夫なものなんでしょうか。

肉食のイメージがある犬に、生の魚を与えていいものなのか、ちょっと悩みますよね。
ということで今回は、犬と生魚(お刺身)の関係について、詳しくお伝えしていきます!

生魚や刺身は与えて大丈夫?

犬の体にとってタンパク質は必須栄養素であり、最近では馬肉などの生肉を与える飼い主さんも増えてきています。

同じ「生食」で考えると、生魚のお刺身も理想的な食材のように思えますが…
魚介類の栄養素や性質は、お肉とは少々異なるので、与える時にはいくつか気を付けてもらいたいポイントがあります。
順番に、詳しくお話していきますね!

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犬は魚介類の消化がニガテ

まず、わたし達が食べるお刺身などの新鮮な魚であれば、犬が少量食べるのは問題ありません

ただ、美味しそうに食べてくれる姿や、もっとちょうだい!と見つめられると、ついついあげ過ぎてしまうこともあると思います。
犬の体の大きさによって適量は異なりますが、新鮮なお刺身でも食べ過ぎるとお腹を壊すことがああるので気を付けてあげて下さい。

特にイカやタコ、エビやカニなどの甲殻類は、犬にとっては消化しにくく、食べ慣れていないと消化不良を起こすことがあります
下痢や嘔吐になることもあるので、最初は細かく刻んで、少量から与えてみて下さいね。


また、消化不良以外でも特に気を付けてもらいたいのが、魚介類に含まれるある酵素のはたらきと、感染症の心配についてです。

犬が生魚を常食するのは危険?

dog2280 生の魚介類や貝類に含まれる「チアミナーゼ」という酵素は、ビタミンB1を分解する働きがあります。

人間より体が小さい犬が生魚(刺身)を常食すると、体の中のビタミンB1の吸収阻害・分解によってチアミン欠乏症を起こし、足元がおぼつかなくなるなどの症状を起こすことがあるんです。
とは言っても、トッピング程度の量をたまに食べるのであればまず起こらないので、そこはご安心下さい。

イカを食べると猫の腰が抜ける、はホント?

これは昔からある風説ですが、イカの成分が猫を腰砕けにする、というわけではありません。正しくは「生の魚介類ばかりを食べるとチアミン欠乏症になる」といった意味になります。

生の魚介類に多く含まれるチアミナーゼを過剰摂取すると、目が回ったようにフラフラ歩くという症状を起こすことがあります。「イカを食べると猫の腰が…」の風説は、こういった情報を断片的にくっつけて出来たのではと囁かれているんです。

とは言っても、イカに含まれるチアミナーゼは他の魚介類に比べると少量で、なぜイカが選ばれたのは…未だに謎なようです。

このチアミナーゼは加熱すると失活します
魚介類を毎日、愛犬に与えたい場合には、火を通してから与えるようにしましょう。

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感染症に気を付けよう

鮭やニジマスは、「リケッチア」という寄生性細菌に感染していることがあり、リケッチアに感染した鮭を生で与えると「鮭中毒」という病気を引き起こします。

鮭中毒の症状:嘔吐、水下痢や血便、発熱、衰弱、リンパ節腫大等

このリケッチアも熱に弱いので、加熱すれば問題ありません。加熱用の生魚などは、そのまま与えないようにして下さいね。

人間用に加工されているお刺身であれば、ほぼ心配ありません。
ですが、川で釣ってきた魚や、加熱用の生魚をそのまま食べられてしまった時には注意が必要です。中毒は必ずしも起きるとは限りませんが、動物病院へ相談しておくのが良いと思います。

寄生虫の心配

生魚やイカには、アニキサスなどの寄生虫がいることがあります。
寄生虫をそのまま体内に入れてしまうと、激しい腹痛や嘔吐に襲われます。(これは犬だけに限らず、人間もです)

アニキサスは魚の内臓や、内臓の周りの筋肉に潜伏していることが多いようです。そのため、上記のリケッチアの話と重複しますが、釣ってきた魚を生で食べない、加熱用の生魚をそのまま食べないことが一番の対策になります。
また、これらの寄生虫も熱に弱いので、加熱して食べればその心配はなくなります。

刺身を犬に食べさせるなら…

dog04 お刺身を常食せず、少量であれば、犬がお刺身を食べても心配はありません。感染症や寄生虫についても、加工された人間用のお刺身であれば、大丈夫かとは思いますが…

大丈夫とは言っても、やっぱり心配は残るもの。うちではお刺身の鮭やイカは、わんこ達には念のため与えていません。
その代わり、マグロ、ブリ、タイ、カンパチ、ひらめ、カレイなどは比較的与えても心配がない魚なので、時々食べさせることもあります。


とは言っても、愛犬の好みや、体質によって生魚を受け付けない子もいます。様子を見ながら、少しずつ与えてみて下さいね。また、日にちが過ぎたお刺身については、人間が食べるのと同じく加熱してあげて下さい。

生の魚は犬にとって必ず必要な食材ではなく、生よりも、加熱したものの方が消化しやすくなります。お刺身は時々のご褒美にして、普段は加熱した魚を与えるようにするのが一番良いかも知れませんね。

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犬山 はる子

犬山 はる子

パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。 現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。