dog358 痙攣(けいれん)とは、全身の筋肉や体の一部が、自分の意志に関係なくガクガクと動いてしまう状態のことです。

さっきまで元気だった愛犬が、いきなりバタリと倒れて、四肢を震わせて痙攣を起こしたら…。きっと驚くでしょうし、時にはパニックになってしまうかも知れません。ですがそんな時こそ、私たち飼い主が慌てず、冷静に対応してあげることが大切なんです。

今回は、犬の痙攣(けいれん)発作について。
痙攣が起こる原因や考えられる病気、私たちが取るべき対処法などについて、詳しくお話していきます。

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なぜ?犬が痙攣を起こす原因

そもそも、何故痙攣が起きてしまうのでしょうか?

痙攣が起こる大きな理由として、神経のコントロールが自分で調整できなくなることが挙げられます。それは怪我や病気だったり、過度のストレスだったり、様々なものが引き金になってしまうようなんです。

犬の痙攣で見られがちな症状

  • 全身を硬直させ、激しく震える
  • 体の一部が震える
  • 体をのけぞらせるように痙攣する
  • 意識が朦朧としたり、意識をなくす
  • 10~30秒呼吸が止まる
  • 大量のよだれや嘔吐、失禁

こちらの動画では、強い痙攣を起こすワンちゃんの姿が…。



保護犬のあらし君ですが、てんかんと診断されているそうです。
30秒ほどでけいれん発作はおさまりますが、その後もふらふらと足元がおぼつかず、不安そうに歩き回っています。

犬が痙攣を起こす三大原因

犬が痙攣を起こしてしまう原因は、大きく分けてこの3つあります。

  • 寒さなど、気温によるもの
  • 不安や強い恐怖などによるもの
  • 病気や怪我などによるもの

「痙攣=病気」と考えてしまいがちですが、実は痙攣の原因すべてが病気、というわけではありません。

不安や緊張、恐怖などの強いストレスにさらされると、私たち人間でも体の震えが止まらなくなることはありませんか?これと同じことが犬の体にも起こり、例えば雷などの大きな音が苦手な犬は、音への恐怖に半狂乱になって痙攣することがあります。

また、寒さを感じて体を震わせ、体温を上げようとしている場合もあります。気付かずに放っておくと、低体温症などに陥ることもあるので、気温の低い季節は特に気を付けてあげて下さい。


繰り返す痙攣は病気の疑いが

犬の痙攣の原因は様々ですが、何度も痙攣を繰り返すようであれば、やはり怪我や病気などの疑いがあります
体をふるふると震わせているように見えても、実は小刻みに痙攣している、なんてこともあるんです。

体の痛みを感じて震えているケースも多く、特にお腹や背中に痛みがあると、全身に震えが出るようになります。お腹や背中を触ろうとすると嫌がったり、怒ったりする場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

痙攣の原因となる病気

dog351 病気が原因となる痙攣の特徴として、ストレスや寒さからくる震えとは異なり、全身を硬直させて激しく痙攣することが多く見られます。硬直を伴う痙攣を起こしたら、病気の進行を疑いましょう。

犬が痙攣を起こす原因として、考えられる病気はこんなものがあります。

  • 犬ジステンパー、トキソプラズマ症、クリプトコッカス症
  • 脳が寄生虫や菌、ウイルスに感染する病気

  • 水頭症
  • 頭蓋骨の中に髄液が溜まり、脳が圧迫されてしまう病気

  • 脳腫瘍
  • 脳の中に腫瘍ができ、脳の神経を圧迫する

  • 腎不全
  • 腎臓の機能が弱まり、体の毒素を排出できなくなる病気

  • 門脈シャント
  • 生まれつき血管に異常が見られ、毒素が体内をぐるぐると巡り続けてしまう病気

  • 低血糖
  • 血糖値が低下することによって痙攣が起こる。子犬が起こしやすいが、すい臓に異常がある場合も起こりやすい。

このほかにも、破傷風などの感染症や、夏に急増する熱中症、タマネギや除草剤などを口にしたことによる中毒症状なども、犬が痙攣を起こす原因になります。

いずれかの病気が原因であったとしても、私たちがどの病気なのか判断するのはかなり難しいため、早急に動物病院で検査を受けることをおすすめします。

痙攣が起きたときの対処法!

dog320 犬がけいれん発作を起こしても、痙攣そのものによって命を落とす可能性は、かなり低いそうです。
まずは、痙攣がおさまって様子が落ち着くのを待つしかありません。ですが、愛犬が痙攣を起こしている間も、飼い主さんにできる対処法に、こんなことがあります。

愛犬を少しでも楽にしてあげるための対処なので、出来る範囲でやってみましょう。

  • 愛犬の周りを片付ける
  • ぶつかりそうな物や、落下物を素早く片付けます。どうしても動かせない物などは、当たっても大丈夫なようにクッションなどを挟みましょう。

  • 騒いだり大きな声を出さず、静かに様子を見守る
  • テレビなどの音量も出来るだけ下げて、呼びかける時も小さな声で、優しく声を掛けてあげて下さい。大きな音は神経を刺激して、さらに発作が強まる場合があります。

  • 口の近くに手を置かない
  • 意識がなく痙攣している場合、飼い主さんの手であっても誤って噛み付いてくることが考えられます。

  • 体を起こしたり、揺らしたりしない
  • これも音と同様に、興奮させてしまうためです。また、「けいれん発作中は触ってはいけない」とも言われますが、これも個体差があり、毛布などですっぽりと包んで抱いてあげることで安心する子もいます。

  • 嘔吐する可能性があるので、顔を横向きにする
  • これも出来る範囲で構いませんが、仰向けで痙攣を起こした場合には少し注意してあげて下さいね。
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「てんかん」が痙攣の原因?

手足を突っ張るようにして痙攣を起こす場合には、「てんかん」が原因である可能性が非常に高くなります。
ですが、てんかんの痙攣はすぐにおさまる事が多いため、慌てずに出来る限りの対処をして、震えがおさまるのを待ちましょう。

てんかんのけいれん発作は数十秒~数分でおさまるので、ワンちゃんが我に返ったら、静かに声を掛けながらゆっくりと落ち着かせてあげて下さいね。

犬が痙攣を起こしたら、動物病院へ!

dog111 痙攣がおさまると、何事もなかったかのようにケロっとしている子がほとんどです。
ですが、けいれん発作を何度も繰り返すと、それによって脳の神経細胞にダメージを与えることを忘れてはいけません。そのダメージが、また次の痙攣を引き起こす要因にもなってしまうんです。

たった一回でも痙攣を起こしたら、まずは動物病院での診察を受けることをおすすめします。

診察時には、こんな事を伝えるのを忘れずに。

  • 痙攣が続いていた時間
  • 意識はあったかどうか
  • 全身が痙攣していたか、部分的に痙攣していたか
  • よだれ、嘔吐、失禁などはあったか

他にも、舌の色が変わっていた、目がグルグル動いていた、など気になる様子があれば全て伝えましょう。


けいれんを起こしている状態を獣医師さんに診てもらうのは難しく、飼い主さんの伝える情報によって、診察や治療の重要な手掛かりになることがあります。
愛犬が痙攣を起こした時、余裕があればその様子をスマホなどで動画撮影しておけば、よりスムーズに伝えられますよ。

早い段階で原因を特定し、適切な治療を受ければ、痙攣を何度も繰り返させなくて済みます。その為にも、日頃からワンちゃんの様子をよく見て、いざという時にも冷静に対処できるように心がけておきたいものですね。

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犬山 はる子

犬山 はる子

パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。 現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。