愛犬が異物を誤飲したときや、食べてはいけない物を食べたとき。
病院に行く時間すら惜しい緊急事態には、応急処置として、飼い主さんの手で「吐かせる」場合も少なくありません。
犬を吐かせる方法には、オキシドールを使う方法と、塩を使う方法があります。
オキシドールを常備している家庭は少なくても、塩だったら間違いなくキッチンにあるんじゃないでしょうか?
「お塩は料理の味付けにも使うし、口に入れても安心だよね?」
…そう思ってのことなのか、愛犬の誤飲処置の際に、塩を使う飼い主さんはとても多いように感じます。
でも、果たしてこれは本当に正しくて、安全な方法と言えるのでしょうか?
ということで今回は「犬を吐かせる行為に塩を使う危険性」について、あれこれまとめてみました。
塩じゃダメなの?って誰もが思うはず
これまで、あまり批判的な記事を書いてこなかったように思いますが…犬を吐かせる方法を調べていたところ、どうにも安直に「塩を使おうぜ!」という情報が氾濫しているように感じたので、改めて記事にしようと思った次第です。
「それどころじゃないよ!愛犬を吐かせる方法を教えて!!」
…とお急ぎの場合は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
オキシドールを使う方法ですが、手元になければ今すぐ薬局に買いに走ってもらう方が、愛犬の体にとっても安全だと思います。
僕がこんな記事を書こうと思ったきっかけは、この獣医師さんの記事を読んだことでした。
「大さじ1杯の塩」
http://www.usagi.cn/hitorigoto/hitori160.html
この記事によると、鶏の骨を誤飲したワンちゃんを吐かせる為に、飼い主さんがネットに書かれていた「塩を飲ませる」という方法を試したところ、一向に吐いてくれず、容体はどんどん悪くなり…
この獣医師さんの病院の時間外救急に、助けを求めました。
夜間救急にワンちゃんが運び込まれた時には、嘔吐や下痢、けいれん、呼吸困難という、誤飲ではなく、大量に飲ませた塩による「塩中毒」の症状が出ていたのだそうです。
そして、必死の処置もむなしくワンちゃんは助からず…悲しい結果に。
過剰な塩分は人にも犬にも毒になる
この記事を読んだとき、本当に胸が痛くなりました。ワンちゃんの死因になった塩分の過剰摂取による「塩中毒」ですが、これは犬だけに当てはまるものではありません。
僕たち人間でも、海水をガブ飲みしたら死んじゃいます。
お醤油を大量に一気飲みでもしたら、無事ではいられません。
あまりにも身近にあって、日常的に口に入れているから忘れてしまうそうにもなりますが、塩は毒にもなるんですよね。
僕たちよりも体の小さい犬からすれば、塩分許容量も人間よりずっと少ないはずなんです。
ですが愛犬の緊急事態という焦りもあって、ネットの不確かな情報を鵜呑みにしてしまった事故ともいえます。
塩で犬を吐かせるのは危険が伴う
犬が誤飲した場合、塩を使った吐かせ方はメジャーなようです。ですが、そこに潜む危険に気付いている飼い主さんは、ごくわずかではないでしょうか。
塩で吐かない時が危険すぎる
高濃度の食塩は胃を強く刺激するため、それによって嘔吐が引き起こされます。これは人間の胃でも同じで、大昔には、吐かせるために塩水を飲ませることもあったそうです。(現在は塩分の過剰摂取の心配もあり、薬を使って吐かせます)
胃を刺激する、という部分ではオキシドールも同じですが、塩はオキシドールに比べて効果が弱いので、大量に飲ませることが前提になります。
ですが、そうして大量に塩を飲ませても全く吐かない犬もいます。
先の塩中毒は、吐くと思われた大量の塩をそのまま消化吸収したことから起こったのだろうと思われます。
塩で毒性が強まる?
塩は化学反応を起こしやすい物質でもあります。愛犬が誤飲した物質が毒性をもつ場合、その毒性が塩と化学反応を起こしてしまい、更に吸収されやすくなる危険が高まります。
出血毒に、塩は絶対ダメ!
塩分を過剰摂取すると、血圧が上昇するのは犬の体でも同じです。タマネギやチョコレート、風邪薬などは、誤飲によって赤血球の破壊など血液に影響する毒素を持つため、これらを誤飲した時に塩で吐かせるのは逆効果ともいえます。
塩で吐かせるのは本当に危険なのか?
改めてネットで「犬 吐かせる方法」で検索してみると、病院に電話したら「塩を食べさせたら吐くよ」と言われました。やってみたらすぐに吐いたので、安心しました!
とりあえず塩を口に突っ込んで下さい。うちの犬はそれで吐きます。
こんな匿名の書き込みを、よく見かけます。
もちろん、塩で犬を吐かせる方法自体は間違ってはいませんし、それで命が助かった子もたくさん居ると思います。
ですが、実際にこの方法で吐かせようとして、その後に「塩では吐かなかった」と書かれていることも少なくないようにも思えます。
その後にオキシドールを使って吐かせたり、水を大量に飲ませているようなので、愛犬の体内の塩分濃度が致死量に達しなかったため、一大事にならなかったのかも知れませんね。
吐かせる時は方法と量に注意
小型犬だと、大さじ1杯に満たない塩で命を落とすこともあります。この方法を真っ向から否定するつもりはありませんが、食塩だから安全だとは限らないんです。量を少し間違えるだけで、塩は犬にとって劇薬になることを忘れないでもらいたいです。
僕も愛犬のかかりつけの病院で聞いてみましたが、「塩を使っても確かに吐くけど、吐かないと全部吸収しちゃう。その方が危ないから、やめたほうがいい」と言われました。体の小さい子は特にだそうです。
また、勘違いさせてしまっていたら申し訳ないのですが、食塩を使っても吐いてくれれば大丈夫です。
大量の塩を食べさせたとしても、それが嘔吐を誘発して吐いてくれれば、塩分が愛犬の体に消化吸収されることはありません。
あくまで、消化吸収された塩分量が一定量を超えると…の話なので。
状況に応じて、リスクの少ない吐かせ方を!
もちろん、愛犬がタマネギを食べてしまって、薬局も開いていない時間で、塩しか家になかったら…。今すぐ吐かせないと命の危機が迫っている状態ならば、僕も塩を使って吐かせると思います。だって、吐かせないと死んじゃいますから。背に腹はかえられないですよね。
でも、塩かオキシドールか病院への緊急搬送か、どれにするか選べる状態であれば、個人的には塩を使う方法以外を選んでもらいたいなあ、と思うのでした。
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Eddy.J
一人暮らしの部屋で1ワン1ニャンと同居中。意外と涙もろい。夢は犬猫も一緒にくつろげるカフェを開くこと。
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