もしも、愛犬が熱中症になってしまったら…!?
暑い季節には人間だけでなく、熱中症で動物病院に担ぎ込まれるペット達が、年々増加しています。
「あれ、愛犬の様子がおかしいかも?」
「病院に行ったほうがいいのかな…」
飼い主さんがそう気付いた時、熱中症の症状を見極めて、慌てずに適切な処置ができるかどうか。
重度の熱中症の場合、発症してから30分~1時間で、愛犬の命が助かるかどうかが決まってしまうんです。
そんな事態にそなえて、熱中症の正しい応急処置についても知っておくと、突然のことにもパニックにならず、冷静に対処できます。
この記事では、愛犬の熱中症の原因や主な症状についてお話ししていきます。
さらには、もしもの時のために、犬の熱中症の応急処置手順についても詳しくまとめました。
暖かい時期に増える熱中症トラブルから、愛犬を守りましょう!
犬が熱中症になる原因は?
私たち人間も熱中症になりますが、発生が多くなるのは梅雨の終わりごろの6月や、7月8月の真夏のシーズンです。ですが、犬の場合はもっとハードルが低く、ゴールデンウィーク頃や梅雨時期にも熱中症を発症しやすいと言われています。
犬が熱中症になりやすい環境
- 気温22度以上
- 湿度60%以上
犬が熱中症になりやすい大きな原因は、犬の体と地面との近さです。
犬の体は人間よりずっと地面に近く、地面の熱や太陽の照り返しなどの影響を、私たちよりずっと大きく受けてしまいます。私たちが涼しいと感じる気温でも、晴れた日のアスファルトの熱が直撃して、熱中症になってしまう子は少なくありません。
実際に、まだまだ涼しい4月ごろでも、車内にたった数分お留守番させたワンちゃんが熱中症になった…、という話を動物病院で聞いたことがあります。
動物病院でも、熱中症で運ばれてくるペットは春頃から増えるのだそうです。
ここ最近は、春でも気温が25度前後になる日もありますし、ワンちゃんがまだ暑さに慣れていないこともあって油断はできない時期だと感じます。
では、どんな症状が見られたら、愛犬の熱中症を疑うべきなんでしょうか?
どのタイミングで動物病院へ連れて行くべきなのか、詳しくお話ししていきますね!
犬の熱中症の症状と対策方法は?
熱中症の症状には段階があって、すぐに病院へ駆け込むべきものから、ホームケアで改善できるものなどがあります。まず最初に「もしかしたら熱中症かも?」と疑われる、熱中症の初期症状にはこのようなものがあります。愛犬に同じ症状が見られないか、注意して見てあげて下さいね。
犬の熱中症の初期症状
- 息遣いが荒い、ハアハアしている
- ヨダレが増える、舌が出っぱなし
- 体が熱い
- 落ち着きがなく、うろうろしている
いつもよりハアハアとして荒い息遣いのときは、高くなりすぎた体温を下げようとしている可能性があります。体温を下げないと熱中症になってしまうので、ワンちゃん自身もなんとかしようと必死で呼吸しているんです。
また熱中症になりかけている時は、口で激しく呼吸をして、吐き気を伴うことから大量のヨダレを出すこともあります。舌がでろんと出たままになるのも、そのためです。
耳の中、脇の下、お腹を触って確かめてみましょう。
犬の平熱は約38~39度で、体温が40度を超えるとかなり危険な状態です。
普段から愛犬の体温を測る習慣をつけておくと、もしもの時に判断しやすくなります。
また、体調の変化に不安を感じて、オロオロと落ち着きを失くしていることも。
愛犬がいつもより落ち着きがないなと感じたら、息遣いや体温などを確かめて、異常かないかどうか確かめます。
愛犬にこんな症状が見られたら、熱中症になりかけている可能性が高いと考えましょう。
こんな時に、飼い主さんがまずとるべき行動はコレです!
- 涼しい場所へ移動させる
- 氷や冷たい水を食べさせる
- ぐったりしているようであれば、スポーツドリンク等を2倍程度に水で薄めて飲ませる
これで様子が落ち着くかどうか、よく観察します。先ほど見られた症状が改善したかどうか、もう一度チェックしてみましょう。
まだ症状が続くようであれば、そのまま熱中症を起こしてしまう可能性が高まります。すぐに動物病院へ向かいましょう。
熱中症の症状で危険なのはこれ!
こんな症状が出てきたら、もう愛犬の熱中症は始まっています。このあとに紹介する応急処置を施して、一刻も早く病院へ搬送しましょう!
すぐ病院へ!危険な熱中症の症状
- 舌や歯茎が赤い
- 目が充血している
- 体温が40度を超えている
- からだ(筋肉)が震え、けいれんする
- 嘔吐や下痢をしている
- 血便や血尿がみられる
- 意識がない
熱中症の愛犬の命を救えるかどうかは、時間との戦いです。
一刻も早く、動物病院へ向かいたいところなんですが…
実は、愛犬をそのままの状態で搬送してはダメなんです。
熱中症の症状をこれ以上進行させないために、飼い主さんの手で応急処置をほどこすことが、愛犬の命を動物病院まで繋ぐカギになります。
ということで次は、病院への搬送前の愛犬の体の冷やし方について詳しくお話していきますね!
熱中症の応急処置!犬の体はこうして冷やす
急ぐあまりに、体を冷やさずに動物病院へ直行するのはとても危険です。これは症状を悪化させてしまい、非常に危険な状態を引き起こしかねません。熱中症の可能性が高いときには、まずは愛犬の体を冷やすことが大切なんです。
熱中症になってしまっている場合には、できるだけ早く、応急処置を施すことが最重要。そして、愛犬の命が助かるかどうかは、時間との勝負です。
焦らず、でも迅速に処置を施していきましょう!
愛犬が意識不明になっている時の応急処置
鼻と口元だけ出して、体を水につけて冷やす
意識がないのは、かなり危険な状態です!病院へ搬送する前に、体温を一気に下げておくことが重要になります。
<愛犬の体はこうして冷やす!>
- お風呂などに水を張っている場合は、全身を水につけます。
- 水を張っていないときは、シャワーから水を出して全身くまなく濡らしましょう。
- 息ができるように、鼻と口は手で覆って濡れないように気を付けます。
愛犬の意識があるときの対処方法
意識がある場合は、体の中と外から冷やしていきます。冷たい水を飲ませる
愛犬が自力で水が飲めそうなら、氷水や2倍程度に薄めた冷たいスポーツドリンクを飲ませて、体の中からも体温を下げさせます。ですが、無理に流し込むのはやってはいけません!うまく飲み込めず、気管に入って窒息する可能性があるので、愛犬が自力で飲める場合だけにしましょう。
体を冷たい水で冷やす
お風呂場などに連れて行き、冷たいシャワーを全身にかけます。鼻と口元を避けた頭から、お尻までまんべんなく濡らしましょう。目安はハアハアという荒い息が治まるまでです。
こうして愛犬の体を冷やすことができたら、応急処置は完了!
急いで、動物病院へ向かいます!
次は、病院への搬送中にできること、病院に到着してから獣医師さんに話すべきことについて知っておきましょう。
熱中症の愛犬を搬送するときの処置方法
まず、事前に動物病院へ連絡して、緊急の旨を伝えておきます。愛犬が熱中症である可能性が高いこと、応急処置で行ったことなどを簡潔に伝えましょう。
繰り返しますが、熱中症になった愛犬の命が助かるかどうかは、時間との戦いです。
場合によってはタクシーなど、一番早く病院へ行ける手段を使いましょう!
移動中も、必ず愛犬の体を冷やし続けます。
気を付けるべき点はこちら。
- 体が濡れた状態でタオルにくるむ
- 脇やお腹に保冷剤をあてる
- 顔を支え、俯かないようにする(呼吸の確保)
被毛が濡れた状態でエアコンなどの冷風をあてるのも、体温を下げる効果的な方法です。
スリングやキャリーバッグだと、中に熱がこもりやすいので、保冷材などを忘れずに入れてあげてくださいね。
病院での熱中症の処置は?
動物病院に到着したら、あとは先生たちに愛犬を委ねましょう。重度の熱中症の場合、後遺症が残る可能性もゼロではありません。処置が終わったら、愛犬の病状はどの程度なのか詳しく聞いておくことを忘れずに。
こちらの記事にまとめましたが、重度の熱中症を引き起こすと、後遺症が残ってしまうこともあります…。
<関連記事>「愛犬に後遺症が…熱中症が引き起こすDICと肺水腫とは。」
愛犬が戻ってきたら、数日は安静にして過ごさせるようにします。
体力が低下しているので、激しい運動は数日間控えて、涼しい室内でゆっくり安静にさせます。食事の与え方など、栄養面の対策についても獣医師さんに相談しておきましょう。
熱中症対策と症状を把握しておこう!
駆け足でお話してきましたが、もしもの場合には、今回紹介した応急処置を忘れないで下さい。いざという時にスムーズに動けるように、普段からシュミレーションしておくのがおすすめです!また、飼い主さんの手で体温を下げたことで落ち着いて、元気になったように見えても油断は禁物。
体内に思わぬダメージを受けていることがあるので、熱中症の兆しがあった後は、必ず動物病院で診察してもらうようにして下さいね。
このように恐ろしい犬の熱中症ですが、対策次第で未然に防ぐことはできます。
熱中症対策も、できるだけ早く、春ごろから始めるようにするのが安心ですよ。
梅雨時期には人もペットも熱中症が増えるので、気温や湿度の変化に合わせた対策を心がけるようにして下さいね。
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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