いつも僕たちのそばに居て、心を癒してくれるペット達。
でも、いつか彼らは僕たちよりも先に命を終え、旅立つ日が必ずやってきます。その時には、言葉では言い表せないほどの悲しい別れに、心が引き裂かれるような思いを経験するはず。
そんな時、「虹の橋」の詩に救われた人はどれくらい居ただろう、と思います。
愛するペットと暮らす方なら、一度は聞いたことがあるかも知れない「虹の橋」のお話。
まだ知らない人が居るなら、ぜひ知ってもらいたい。
この「虹の橋」の詩は、大切な家族を失った寂しさに沈む心を温かくしてくれるような、とても素敵なお話なんです。
虹の橋の詩は世界中で愛されている
「虹の橋」の原文は英語で、Author Unknown(原作者不詳)のまま、世界中に広まっている有名な詩です。一説によると、古いインディアンの伝承に基づいているとも囁かれています。1980年から1992年のあいだに造られたと噂されていますが、詳細は今のところまだ分かっていません。
虹の橋の詩の概要は、wikipediaでもこのように紹介されています。
この世を去ったペットたちは、天国の手前の緑の草原に行く。食べ物も水も用意された暖かい場所で、老いや病気から回復した元気な体で仲間と楽しく遊び回る。しかしたった一つ気がかりなのが、残してきた大好きな飼い主のことである。
一匹のペットの目に、草原に向かってくる人影が映る。懐かしいその姿を認めるなり、そのペットは喜びにうち震え、仲間から離れて全力で駆けていきその人に飛びついて顔中にキスをする。
死んでしまった飼い主=あなたは、こうしてペットと再会し、一緒に虹の橋を渡っていく。
引用元: wikipedia 「虹の橋 (詩)」
直訳に近い形で日本語訳されていますが、胸を打つストーリーであることは十分伝わるかと思います!長い間、世界中で語り継がれてきただけあって、胸にグっとくる表現が散りばめられていますよね。
(ただ、このままだと少しカタいというか伝わりづらさが残るので…。僕なりに読みやすく意訳した虹の橋を後ほど紹介します)
虹の橋の作者は一体誰なのか?
作者不明のまま広まっている虹の橋の詩ですが、やはり「誰がこの詩を作ったのか?」というところは気になります。原作者として確定はしていないのですが、自分が原作者だ!と主張している人が今現在3名存在しているようです。
- ウィリアム・N・ブリトン(William N. Britton) 「虹の橋の伝説」(原題:Legend of Rainbow Bridge/1994年出版)を記した
- ポール・C・ダーム(Paul C. Dahm) 1981年に彼自身が虹の橋の詩を執筆し、1994年にこの詩の著作権を主張、1998年には「虹の橋」の名称で書籍を出版したと主張している
- ウォレース・サイフ(Wallace Sife) 「ペットロスとペットとの死別協会」会長であり、詩作品「ペットはすべて天国に還る」(原題:All Pets Go to Heaven)、著書「ペットを亡くすこと」(原題:The Loss of a Pet )を記した
彼らはそれぞれ原作者は自分であると主張していますが、実際のところは未だ明らかになっていません。彼ら3人のうちの誰かが本当に原作者かも知れないし、全く違う人かも知れない…。もはやミステリーです。
ネットに登場した頃から既に作者不明だった
今でこそ世界中のメディアで取り上げられている虹の橋の詩ですが、一番最初にインターネット上に掲載したのはアメリカのニュースサイトでした。取り上げたのは「rec.pets.dogs」というニュースグループで、1993年1月7日に投稿された文章がはじまりとされています。この時点で既に原作者の存在があやふやで、虹の橋に関する投稿が複数あるものの、引用元はそれぞれ別になっている…という不可思議な状態に。
恐らく、ネットに掲載される前から虹の橋の詩は一部の人々に広まりつつあって、それがネットを介して伝言ゲームのように世界に広がっていったんだと思います。
ネット上にも色々な「虹の橋」が紹介されていますが、その原文はすべて同じものです。原文は英語ですので、読んでみたい方はこちらからどうぞ!
この原文を元にして、翻訳する人の語り口調や意味の捉え方の違いなどから、少しずつ違った内容となりながら世界に伝わっています。
ということで今回は、僕なりの解釈で、小難しい言い回しを避けて読みやすく翻訳してみました。
虹の橋 RAINBOW BRIDGE
天国のほんの少し手前には、「虹の橋」と呼ばれる所があります。誰かにとってかけがえのない存在であり、愛されていた動物が命を終えると、この虹の橋のたもとへとやってきます。
ここには草原と丘が広がっていて、みんな元気に走り回って遊んでいます。
食べ物や水にも充分恵まれ、お日様はふりそそぎ、彼らは満たされて、気持ちよく過ごしています。
病気で苦しんでいた子も、年老いて亡くなった子も、健康や若さを取り戻しています。
つらい目に遭って傷付いた子も、不自由な体になっていた子も、みんな元の体を取り戻すのです。
それはまるで、残されたわたし達が過ぎた日の思い出の中に、彼らを思い出す姿そのもののようでした。
ここに居る子達は、みんな満ち足りて幸せな気持ちで暮らしています。
でも彼らには、心に引っかかることがひとつだけありました。
それは、自分を愛してくれた人、自分にとっての愛する人がここにいない、という寂しさでした。残してきたあなたの事が、みんな恋しくてたまらないのです。
その気持ちを抱えながら、みんな草原や丘を走りまわり、一緒に遊んで待っています。
そう、その日がやって来るまで…。
ある日、駆け回る動物たちの中の一匹が、突然立ち止まり、遠くを見つめました。
その瞳は輝き、体は喜びに震えはじめます。
その子は仲間達から離れて、見つめる先に向かって、緑の草原の上を飛ぶように走り出しました。はやく、早く!急げ、急げ!!
視線の先に、あなたを見つけたのです。
ずっと会いたかった、大好きなあなたに会えたのです。
先に旅立っていたはずの最愛の友と、あなたはついに再会します。
飛ぶように勢いよく走ってきたその子と、あなたはしがみつくように抱き合い、歓喜の涙を流すことでしょう。
もう二度と、離れることはありません。
再び会えた歓喜のキスがあなたの顔に降り注ぎ、あなたの両手は、愛する友を優しく撫で続けます。
その子の瞳を覗きこむと、あの頃と何一つ変わらない、信頼に溢れた優しい瞳が見つめ返してきました。それは、長い間見ることは出来なかったけれど、あなたの心からは一日も消えた事のなかった瞳でした。
そしてあなた達は、一緒に「虹の橋」を渡っていくのです。
実は三部作だった?
よく知られているのはここまでなんですが、実は「この続きではないか?」と言われるお話が、二つ存在しています。第二部は「虹の橋で(At the Rainbow Bridge)」。
そして第三部とされるのが、「雨降り地区」です。
愛犬を失った悲しみに沈む方にも、今まさに愛犬との日々を噛みしめている方にも。そして、愛されなかった動物達に、心を痛めている方にも…これは、ぜひ読んでもらいたいお話です。
虹の橋は宗教ではなく神話が起源?
僕たち人間の死後については、たくさんの宗教で様々なことが語られています。そんな風に「虹の橋もどこかの宗教で語られているのでは?」と考えられていた時期があったんですが、「命を終えたペット達が主人を待つ場所がある」と語っている宗教は存在しません。
そもそも、動物に魂があるのか否かというのは、宗教にとって非常にデリケートなところなんです。
数年前、ローマ教皇が「神が創造した全ての生物に、天国の門は開いている」と、ペットの犬を亡くして悲しんでいる少年へ語りかけたことが大きな話題になりました。これは言い換えると、キリスト教においては犬や猫が亡くなっても天国に行ける、ということにもなります。
動物の魂の有無について、カトリック教会はこれまで明言を避けてきたのですが…そんな中でのこの発言だったため、カトリック教徒だけでなく、メディアや動物愛護団体の間でも物議をかもすことになりました。
北欧神話の虹の橋
やはり虹の橋に宗教的な関係はなさそうですが、宗教以外で気になったのが「虹の橋」という名称そのものです。北欧神話が好きな方なら、ビフレストという存在をご存知かもしれません。
ビフレスト(ビフレスト橋)は北欧神話に登場する橋の名称で、ラグナロクという北欧神話の世界の週末の日に、神々が地上から神の国へとかけた虹の橋のことです。
虹の橋というワードがダイレクトに出てきてびっくりしますが、北欧神話におけるビフレスト(虹の橋)と、亡くなったペット達が待つ虹の橋に直接的な関係はありません。
が、違う世界と世界を繋ぐ場所という意味では非常に近いものがありますし、もしかしたら作者は北欧神話からもアイディアを得ていたのかも知れませんね。
僕たちが虹の橋を渡る日まで
僕がこの話を知ったのは、昔実家で飼っていた愛猫が旅立ったときでした。あれから二十年以上経ち、僕ももう少し長生きするだろうし、果たしてあの子は僕の事を覚えてくれているんだろうか…?なんてこと考える事も、時々あります。
ですが一説によると、あの世とこの世の時間の流れは違うのだとか。
この世の1年は、あの世では1日。
20年経っても、あの世ではたった20日しか経っていないという事になります。
ということは、僕がおじいちゃんになって天寿を全うしたとしても、あの子にとっては数ヶ月程度なわけです。だったら僕の事も忘れずに、虹の橋のたもとまで迎えに来てくれそうな気もします(´ー`A;)
今一緒に暮らしている愛犬・愛猫たちも、いつか僕より先に逝くはず。
でも、こんな素敵なお話を知ることで「きっとまた会える」と思えることは、とても心強いものですね。
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