暑い夏場の愛犬のクールダウンに、保冷剤やジェルタイプのクールマットを活用している飼い主さんは多いのではないでしょうか。
ですが、同じく夏場に増えるのが「犬や猫が保冷剤を食べた」という事例です。
誤飲しても無害な保冷剤は増えていますが、中には誤飲によって愛犬の命を奪う、とても危険な物質が含まれている場合があります。
もしもの場合に備えて、愛犬と保冷剤の危険性について知っておきましょう!
犬の誤飲!保冷剤やアイスノンに潜む危険とは
保冷剤がカチコチに凍っている時はそこまで心配ありませんが、問題なのは溶けてしまったとき。溶けてやわらかくなった保冷剤の袋は、小型犬の歯でも簡単に破れてしまいます。一般的に保冷材に使用されている成分は、主にこんなものがあります。
高吸水性ポリマー、防腐剤、形状安定剤など
「高吸水性ポリマー」は冷えピタシートや紙おむつにも使われていますし、高品質なものは食品添加物に使われていることもあります。その為、防腐剤などによって体調不良を起こすことは考えられますが、命にかかわる危険性は少ないと言えます。
ただ、恐ろしいのは「エチレングリコール」という成分が含まれている場合です。
エチレングリコールは車のラジエーター液にも使われる物質で、犬にとって猛毒。処置が遅れると高い確率で命を落とす、とても危険な物質なんです。
エチレングリコールの特性
- 凍らせても固まらない
- 舐めると甘い味がする
毒性が高いエチレングリコールですが、厄介なのが甘い味がすること。犬が保冷剤やクールマットをかじって中身が出てきた時に、おやつと勘違いしてペロペロと舐めてしまう可能性があります。
犬がエチレングリコールを誤飲すると、エチレングリコール中毒を起こします。
エチレングリコールは肝臓で代謝される物質で、代謝によって生成された物質(代謝産物)が臓器にダメージを与えることで様々な不調を引き起こし、最悪の場合死に至ることも。
エチレングリコール中毒の症状
- ステージ1
- ステージ2
- ステージ3
[主な症状]
嘔吐や神経症状(足元がふらつくなど)
多飲多尿、精神状態低下
[主な症状]
頻脈、呼吸速迫
腎臓がダメージを受け、腎不全により命を落とす
獣医師さんの話によると、エチレングリコールの存在はあまり知られていないにも関わらず、かなり死亡率の高い中毒なのだそうです。
初期症状が分かり辛く、気付いた頃には既に手遅れになってしまうのだとか。
また、保冷剤(アイスノンなど)を食べたと伝えない限り、診察してもまず分からないのが怖いところなんです。
愛犬が保冷剤やクールマットを食べたとき
病院へ連れて行くのが大前提ですが、その前に応急処置として吐かせることも大切です。誤飲後ある程度時間が経つと、エチレングリコールが体に吸収されてしまい、愛犬の体の中で毒性物質が生成されてしまうと、手遅れになる可能性が高まります。
病院へ行ったとしても、まずは胃の中のものを吐かせることになるので、どうしてもすぐに病院へ連れて行けない場合などは、飼い主さんの手で愛犬を吐かせましょう。
誤飲した時の吐かせ方
消毒用に使われるオキシドールを薄めたもの(3%溶液)を飲ませ、嘔吐を誘発させます。体重1kgあたり1~2mlが適量で、それを口の端からスポイトなどで注ぎ込んで飲み込ませましょう。
病院へ向かう時は、必ず誤飲した保冷剤やクールマットを持参し、食べたと思われる時間帯などについて、詳しく獣医師さんに説明しましょう。
誤飲や中毒事故を起こさない為に
保冷材の誤飲による中毒を起こさないために、まず手持ちの保冷材の内容成分を確認しておきましょう。「食べられません」とパッケージに書かれているものは、必ずではありませんが、エチレングリコールが含まれていることもあるようです。広がるエチレングリコール不使用の動き
エチレングリコールは危険性が高いため、人用のアイスノンや、保冷剤などに使用を控えているメーカーが近年増えているようです。それでも、凍らせても柔らかいという特性が好まれるのか、使用されている商品はまだ流通しているので気が抜けません。
内容成分が不明な保冷剤なども、愛犬のそばに放置しないのが一番の防止策です。
近年はペット用のクールダウン商品も増えてきており、「犬用」と書かれているジェルマットは破れにくかったり、食べても有害でない成分が使われています。
購入前に、成分をよくチェックしておきましょう。
また、時間外対応してくれる動物病院を探しておくと、いざという時に焦らずに済みます。
近年では夜間の緊急外来を受け付けている動物病院も増え始めているので、お近くの受け入れ場所をチェックしておくと安心ですよ。
保冷剤そのものはとても便利なアイテムなので、成分や使い方に気を付けて、愛犬のクールダウンに役立てて下さいね!
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犬山 はる子
パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。
現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。
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