dog106 犬にとって、命にかかわる危険性がある熱中症。
重度の熱中症になると、後遺症が残ったり、命を落とすことも少なくありません。

今回は、熱中症で愛犬の体に後遺症が残るケースや、熱中症によって引き起こされる「DIC」「肺水腫」という病気について、詳しくお話していきます。

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犬の熱中症の重症化を防ぐ!

犬は元々、人間よりも暑さや湿気に弱く、特に高温多湿な環境での体温調節は苦手な生き物です。

私達が「これくらいの暑さなら大丈夫」と思っていても、愛犬の体には大きな負担がかかっていることも。ほんの少しの油断が、愛犬の健康を損ねて、命を奪ってしまうこともあるんです。


熱中症で愛犬が死亡?その原因とは

犬の熱中症は、軽度なものから重度な状態まで、多岐に渡ります。
適切な処置を受けることで、数日で元気な姿に戻ることがほとんどです。

ですが、時には熱中症で命を落としたり、後遺症を残すことも…

この場合はほとんどが「熱中症の応急処置の遅れ」により、愛犬の体が高温状態に長く晒されたケースです。
「愛犬が熱中症に!?正しい応急処置がその子の命を救う!」

夏の車内で留守番をさせた、エアコンをつけずに長時間留守番をさせた、などが例として挙げられます。飼い主さんが愛犬のそばにいない時に発症し、対処が遅れることが最大の原因となっています。


熱中症で死に至る場合、そのほとんどが「播種性血管内凝固(DIC)」と「肺水腫」という病気を発症して命を落とします。
また、後遺症が残る場合も、この病気が原因となっているケースが非常に多いです。

それぞれどんな病気なのか、詳しくお話していきますね。

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DIC(播種性血管内凝固)とは?症状の特徴は?

DIC(播種性血管内凝固/はしゅせいけっかんないぎょうこ)は、体内の血液が固まりやすくなり、血管内に「血の塊」が流れてしまう病気です。

膝を擦りむいたときなど、傷口にかさぶたができますよね。
あの血が固まるという作用が、体の中で起こっている状態になるんです。


DICの主な症状

  • 吐血、血尿、下血が起こる
  • 皮膚に点状出血が現れる
血の塊を作るためには、血液内の血小板(けっしょうばん)が消費されます。
ということは、血の塊が作られるほど、血小板がどんどん不足していくということ。

そうなると、本来血を止めなくてはいけない部分での止血が出来なくなり、体のあらゆる部分で出血するようになってしまうんです。


  • 多臓器不全を起こす
  • 血の塊が各臓器に達すると、そこで目詰まりを起こします。
    それによって臓器が正常な機能を失い(臓器不全)、様々な症状を引き起こすことに。

臓器不全には、主にこんなものがあります。
それぞれの臓器不全は軽度でも、複合的に合わさることで命に係わるケースがあるので、注意が必要です。

  • 急性腎不全
  • おしっこの量が減少したり、おしっこが出なくなる

  • 腹痛、下血
  • 消化器官に急性潰瘍ができる

  • 意識障害
  • 中枢神経に異常が起こる

  • 肺梗塞による呼吸困難

熱中症による肺水腫の症状と特徴

dog113 肺水腫(はいすいしゅ)とは、名前の通り肺に水が溜まる病気です。
本来は空気が溜まるはずの肺の部分に、血液からしみ出した水分が溜まってしまう状態を指します。

心臓病が原因で発症することが多い肺水腫ですが、熱中症でも起こり得る病気なんです。しかも、他の原因で発症する肺水腫と比べて、症状にかなりの重症性が表れやすいのも特徴です。


肺水腫の主な症状

  • 呼吸困難
  • 肺に溜まった水によって、肺が常に浮腫んだ状態になります。
    それによって、息をすることが困難になり、咳やゼイゼイとした荒い息が出るほかに、重症になると息が出来ず呼吸困難に陥ることも。

  • 舌の色が青紫に
  • 症状が進行し、肺で酸素の交換が出来なくなると血中の酸素濃度がガクンと下がります。
    それによって舌や歯茎などの粘膜が青紫色になり(チアノーゼ)、ショック状態に陥ることも。

重度の熱中症は後遺症に

上記のような病状が進行していても、動物病院で適切な処置を受けていれば、命が助かる可能性も充分あります。

ですが、症状が進みすぎていると、完全な回復は難しいことも。なんとか一命を取り留めても、後遺症が残ってしまう場合もあるんです。


どんな後遺症が熱中症では残る?

後遺症の症状は、愛犬の体のどの部分にダメージが残ったかによって変わってきます。


腎障害(慢性腎不全)


先に紹介したDICの症状が重症化していると、腎障害が残ることがあります。

<主な症状>
  • おしっこの色が薄くなる、多飲多尿になる
  • ふらつき、嘔吐、貧血、食欲不振など

心不全


心臓の細胞にダメージがあると、心不全を患うことも。

<主な症状>
  • 激しい運動を嫌がる
  • 咳が出る
  • 失神することがある

脳障害


脳の神経がダメージを受けた場合、様々な症状が現れることがあります。

<主な症状>
  • 指示しつけが理解できなくなる
  • ふらふら歩いたり、よろけやすい
  • 距離感が喪失する
  • 同じ所をぐるぐる回ってしまう


後遺症による障害が重症化すると、それによって命を落とすことも充分有りえます。愛犬の負担はもちろん、飼い主さんの精神的な負担や、経済的な負担も想像以上のものです。

そうならない為にも、日頃から熱中症の予防に気を付けるだけでなく、もしもの場合に正しい応急処置を行うなどの知識を深めておくのは、飼い主さんの務めだとも言えます。

愛犬との楽しい夏を迎えられるように、熱中症には細心の注意を払って下さいね!

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犬山 はる子

犬山 はる子

パピーウォーカーの経験から犬に関心を持ち、犬の問題行動やストレスケアについての知識を深める。 現在は3頭の犬と暮らし、犬が与える癒しのパワーに日々お世話になっている。